ナチュロパスになるには

ナチュロパシーやナチュロパスという言葉が本当に少しずつですが広まり始めているように感じます。

本来のナチュロパシーではないものが、日本で「ナチュロパシー」と名乗られていたり、アロマなどを学ぶスクールが「ナチュロパシースクール」と名乗り、「ナチュロパスの認定証」を出している、など横目で見てきていました。本物ではないナチュロパシーがナチュロパシーと呼ばれていることに関しては、反対意見を叫ぶ暇もないので意見はしてきませんでしたが、スクールなどができているのを見ていると「ナチュロパシーを学びたい」と考えている人が間違えて選択すると困るな、と思ってしまいます。やはり黙っていないで、一応伝えておかないといけないかなという責任を感じます。

現在の日本では本物のナチュロパシーを学べる教育機関は存在していません。日本では本物のナチュロパスにはなれません。

ナチュロパスとは、専門の教育機関で教育を受けるだけでなく、ナチュロパスという職業のスキルを訓練された自然療法士のことを指します。海外ではその資格を持って、人の体をアセスメントし、ハーブやサプリを処方することができます。

ナチュロパシーという学問は、北米とオーストラリア(イギリスで一部)に存在し、解剖生理、病態生理、生化学、分子栄養学、食養、伝統西洋ハーブ療法、カウンセリング、アセスメントを学ぶものです。そこに補足して、虹彩学、ホメオパシー、フラワーエッセンスなどが追加されます。ただし、現代のナチュロパシーはあくまでエビデンスに基づいた、最新の分子栄養学、食養、伝統的ハーバルメディシンを軸に、病態生理に沿いながら、根本原因にアプローチするCAM(Complementary Alternative Medicines: 補完代替療法)アセスメントを学ぶ学問であり、その学部を持つ大学は学位をとるためだけの機関ではなく職業訓練機関でもあります。

分子栄養学やハーブの勉強は基礎で、メインは解剖生理と病態生理を元に、どのようにリサーチをしアセスメントを行って、最終的に数ある選択肢の中から何を改善するために何を処方するか決定する『思考の訓練』をされます。学校の教育の目的は、知識を学ぶだけではなく、人の症状を聞いて見てアセスメントができるプラクティショナーを育てることです。

過去にマッサージなどが科目に存在したこともありましたが、現在はマッサージもなく、アロマやメディカルアロマセラピーなども科目にはありません。

北米では一部メディカルスクールの科目もあり卒業後の試験を経て、Naturopathic Doctor(ND)の称号が得られるようです。Post graduateレベルなので、勉強期間は通算6年ほどと聞いています(要確認です)。オーストラリアでは以前はアドバンスドディプロマでナチュロパスの資格が得られましたが、現在ではヘルスサイエンスのバチェラーディグリー(学位:4年)が必要で、クリニックでの数百時間の研修の後に、実技の試験を経て卒業ができます。アドバンスドディプロマは伝統ハーバルメディシンが主でしたが、バチェラーでは分子栄養学を含む栄養学も徹底して学びます。

ナチュロパスを国内外で探すときは、必ず、Medical DoctorのMDのように、NDやBHSやAdv Dipなどの称号をつけているはずなので確認しましょう。

ND(ナチュロパシックドクター)は北米のナチュロパス、BHS(バチェラーオブヘルスサイエンス)やAdv Dip(アドバンスドディプロマ)はオーストラリアのナチュロパスです。BHS(Nat)であればヘルスサイエンス(ナチュロパシー)、BHS(Nut)であればヘルスサイエンス(ニュートリション)の学位の持ち主です。BHSとは若干異なる名前の学位も存在しますが、略称はインターネットで検索をしたら出てくるはずです。基本的には協会(豪ではNHAA/ANTA/ATMSなど)が指定する教育機関の指定学部の証書が必要です。

北米でNDを取っていてもオーストラリアで開業している場合はNDは名乗れず、ナチュロパスになります。また、オーストラリアで資格を取っている場合はもちろんNDは名乗れません。必ず自己紹介などで、どこで何の勉強をしているか紹介はしていると思うので、そこで確認してみてください。

もし、薬の併用が多かったり、西洋医学と併用してナチュロパシーを使う場合は、分子栄養学や薬学の基礎を少し学んでいるはずの米国のNDや、オーストラリアのBHSのナチュロパスを探すと良いかと思います。

ただ、3年の勉強でとれるAdv Dipの資格でも、経歴が長い人は、伝統的な処方と長年の実績で人気のナチュロパスもたくさんいます。実際、私もAdv Dipを保有している人で素晴らしいプラクティショナーを知っています。周りのオススメがあれば、資格のグレードは気にしなくても良いですね。

ナチュロパシーを学びたいと考えている方は、私が学生時代に4年間書いたブログを参考に読んでみてください。

「Naturopathyを学ぶにあたって、国の選択」と、「オーストラリアの学校選び」が国・学校選びの参考にしていただけるかと思います。

海外で医療系またはMBAを勉強した方はご存知かと思いますが、勉強の大変さは半端ないです。費用が膨大にかかるだけでなく、日本の大学とは比べ物にならないほどの勉強量を求められます。また、人の体をアセスメントする仕事なので、語学のハンディキャップを、ハンディキャップと思い弱気になると卒業できません。「英語はロシア語より多少はわかる。資料さえあれば猛勉強して補う!」という気概が必要になります。

学業最後の2学期では、10週間で40のタクスがあり、最後の1学期では10週間で50のタスクでした。そんな過酷な日々をブログでご覧いただけます。

そして、ものすごく過酷な4年を経て卒業してみると、たった4年であれだけの知識と経験を得られたことは今までの人生で他にはなく、英語の論文も斜め読みができるほどのスキルを身につけ、助け合うナチュロパスのネットワークもでき、何よりも「人生が変わった」と喜ぶクライアントさんの顔を見ることができるようになりました。

10年の長さに感じる4年間でしたが、それを終えるとその後の自分の残りのすべての人生の色が全く変わります。覚悟を決めた方は是非頑張ってください!

※学生時代は留学相談を受けていましたが、申し訳ないのですが、現在は時間が限られているためお受けできません。その代わり、有料でも、という方には別途有料相談を設けていますのでご相談ください。