何をしても治らないお腹の張りとガス、一人で悩まないで!

最近、どんどんSIBO(小腸内細菌増殖症)の人が増えているように感じます。

食後にまるで妊娠しているようにお腹がぽっこり出てしまってガスが止まらない日がほぼ毎日。下痢や便秘もある。そんな症状がありますか?

SIBOは、本来は大腸にいるはずの腸内細菌が、ストレスや食べ物の偏りなどとともに腸内環境が悪化し、小腸に移動してきてしまった状態で起こります。小腸は食べ物を吸収する場所です。微量な腸内細菌は住んでいますが、基本的には腸内細菌が住む場所ではありません。特に若い女性に多いですが男性でも起こります。

食べ物は口の中に入れて噛んで唾液で一部消化、また、胃で消化、さらに小腸でも消化が続いて、どんどん細かくなって最終的に吸収に適した一番小さい分子になり、小腸の腸壁を通して吸収されて血中に入ります。小腸に腸内細菌がいると、そこにある糖類をその場で発酵させてしまいます。

発酵によって、水素ガスやメタンガスが発生し、お腹が膨れたり、ゲップが起こりやすくなったり、また、下痢や便秘を繰り返すようになります。便秘も起こり得ますが下痢の方が一般的です。小腸で発酵が起こると他の栄養素の吸収もうまく行かなくなります。

SIBOは以下の症状を伴うことが多いです;

  1. 過度のガス、腹部膨満、下痢、腹部不快感
  2. 腹痛(特に下腹部)
  3. 便秘(下痢のほうが一般的)
  4. 残便感
  5. 過敏性腸症候群 (IBS) または炎症性腸疾患 (IBD)がある
  6. グルテン、カゼイン(乳製品)、乳糖、果糖の食物不耐症(遅延性食物アレルギー)、特にヒスタミン不耐症
  7. うつなどの気分障害
  8. アレルギー、アトピー
  9. 線維筋痛症、慢性疲労、糖尿病、パーキンソン病などの神経筋疾患、自己免疫疾患(膠原病)などの慢性疾患
  10. ビタミンA、B12、D、Eを含むビタミン·ミネラル不足
  11. 脂質の吸収不全 (脂肪便:白色または色が薄く、大きな塊で、軽く、匂いのある便)
  12. 酒さまたはその他の皮膚の湿疹
  13. リーキーガット

発酵される糖類は、発酵性の「オリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール」。その英語の頭文字をとってこれらをFODMAPと呼び、発酵性の高い食材を高FODMAP食と呼びます。特にわかりやすいのは、乳製品、果物・蜂蜜、小麦・穀類、豆類、玉ねぎ、ニンニク、食品甘味料(キシリトールやエリスリトール)の、何か1つのカテゴリーまたは複数のカテゴリーの食材に反応して、お腹が異常に張ってガスが溜まりやすくなる、またプラスして上記の症状を伴う場合もあります。上記1の症状が一番顕著です。

SIBOについては情報がネットにたくさん出るようになったので、自己流で治療をしている人もたくさんいるかもしれません。

ただ、SIBOは多くのケースで過敏性腸症候群(IBS)が併発しています。先にIBSや腸内カンジダなどが元々あって、時間を経て徐々にSIBOが発症する場合も多いです。なので、渦中の本人は「私はそういう体質なんだ」と誤解したまま過ごし、いつの間にか徐々に状態が悪化してさまざまな症状が起こり、何をどうしていいかわからなくなっていたりします。

SIBOは西洋医学でも認識されている疾患なので抗生物質での治療を行います。ナチュロパシーでもナチュラルなハーブの抗菌剤を使用してまずは細菌を除去します。ただ、小腸に住んでいる細菌を殺すだけではよくなりません。必ず除菌中にFODMAPのコントロールが必要になるので食事療法が必須です。また、酷くなると栄養の吸収の阻害が顕著になってくるので食べているのに栄養不足の症状が体に現れてきます。

ただし、SIBOの場合は闇雲に栄養素を与えても吸収できず、また、除菌後に腸内環境を整える必要がありますが、除菌がしきれていないうちに闇雲にプロバイオティクスや主にプレバイオティクス(食物繊維など腸内細菌の餌になるもの)を投与すると、発酵が進み悪化します。また、SIBOの場合は往々にしてリーキーガットも伴っていますが、通常リーキーガットを修復してくれるハーブや栄養素も、除菌が完全でないうちに投与すると悪化させてしまうことが多いです。

除菌とその後の腸内環境の再構築のバランスに最新の注意を払う必要があります。

除菌と食事療法を行いながら、SIBOでも問題のない最低限のプロバイオティクスとプレバイオティクスやリーキーガットを修復する栄養素を服用しながら少しずつ腸内環境を整えていきます。整い始めたところで、徐々に幅を広げ、プロバイオティクス・栄養素・ハーブの内容を変更していき、もう一段階進んだ腸内の再構築を行なっていきます。最新の注意を払って、段階を追って腸内環境を修復していきます。

また、SIBOがある人はIBSもある人がとても多いですが、IBSはトリガーがストレスであることが多いです。なので、ストレス対策や副腎疲労なども一緒に改善して行かないと根本治療にはなりません。

体に悪いストレスとは、人がライオンにあった時のストレスと同じ症状を体に起こします。「戦うか逃げるか」を優先するので、その時に不必要な消化活動はストップします。ライオンにあって食べられそうなのに、自分が悠長に食べ物を食べることはありませんから、体は全てのエネルギーを戦う活動か、逃げる活動かに集中させますね。なので、人は上司や嫌な客など、現代の「人間の皮を被ったライオン」に会うと、胃が消化を止めてしまいます。消化不良の食べ物が胃から小腸に落ちていくことで余計に小腸の状態が悪くなりSIBOがさらに悪化していきます。

なので、元々の原因のストレスをコントロールしないことには、いくらSIBOの治療をしても焼石に水で根本治療にはなりません。そして、SIBOになっている状態の時は、食べた分すらもきちんと消化吸収できていないので、ストレスに耐えられるだけの栄養とエネルギーを作れなくなってしまっています。ストレスはみなさんが体感で感じる以上に膨大な栄養、ビタミンB・ビタミンC・マグネシウム・カルシウム・亜鉛など、をどっさり奪っていきます。

それらを補充しないと、しっかり地に足をつけて立っていられなくなります。なので、いつどの段階でどの栄養を補充するかもとても大事です。

そして、腸内カンジダの除菌と比較しても、SIBOの場合、除菌に時間がかかることが多いです。1回の除菌でよくなる人もいれば3回の除菌が必要になる人もいます。程度のひどいSIBOの場合、今まで私がとってきたケースでは平均2〜3回程度除菌を行っています。大きく個人差はありますが、始めの4〜5ヶ月で除菌をし、半年目から一年までの間に腸内環境を再構築していくイメージです。

これら全ての要素を考えると、プロの指導の下でも時間がかかるものなので、自力で行うセルフトリートメントにはもちろん限界があります。

私のところにもそれまで分子栄養学のクリニックにかかっていて治療しきれていない方や、セルフトリートメントをしていたけれども改善しない方が来られます。根気よくお付き合いいただき、上述通り、平均で半年から一年で完全に良くなっている人が多いです。

先日も初回コンサルから一年経った方のフォローアップを行いましたが、まるで生まれ変わったようにお元気で、初回コンサルから初めてみる「本当のその方の生き生きとしたお顔」を拝見して感動してしまいました。初回コンサル後、半年ぐらいでだいぶ落ち着いてこられ、今は高FODMAP食を口にしても全く反応が起こらないそうです。

一人でお悩みの方はぜひご相談ください。状況・情報の整理だけでも大きな助けになると思います。

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