年齢の経過とともにより良く自分の性に寄り添うために②

ここでは更年期に起こる体の変化の話はしません。更年期の体の変化に関しては講座も用意しているのでご興味のある方はそちらをどうぞ。閉経後に女性の体に起こる変化の話。

閉経後にエストロゲンもプロゲステロンも下がり、女性ホルモンが分泌されなくなると、女性の体は脂肪に溜まっているエストロゲン(更年期前に分泌するメインのエストロゲンとは種類が違うもの)を使ってその後体をメンテナンスすることになります。なので、閉経近くなると痩せにくく、太りやすくなって、体に脂肪を貯めようとする。ちゃんと理由があるんですね。

よって、痩せすぎている、または脂肪がないとエストロゲンが足りなくて、更年期障害の症状が強く出たり、またこれからお話しする閉経後の症状が強く出る可能性があります。なので、更年期近くの女性は少しふっくらしていた方が良いです。余談ですが、逆に男性に脂肪が多いとエストロゲンが多くなりテストステロンの働きを邪魔するので、前立腺の問題が起こりやすくなったりします。

閉経後はホルモンの低下と生殖器への血流の低下により、外陰部、膣、尿路の細胞の萎縮が起こります。膣の乾燥、性交痛、頻尿、失禁などが起こりやすくなります。細胞が萎縮によって傷つきやすくなるのに加え、子宮や膀胱が筋力の低下で下がってくるなどして慢性膀胱炎・尿路感染にもなりやすくなります。なので、膀胱炎になりやすい人は事前に治しておきましょう。また、骨粗しょう症、乳がん、循環器疾患、うつなどの病気のリスクが上がります。

更年期の講座ではこれらを防ぐために自然療法で何ができるかをお教えしていますが、今日はもう少し具体的に、特にこの膣萎縮についてお話しします。意外と深刻なのです、この膣萎縮。

膣萎縮は閉経後の女性、早期閉経、抗がん剤治療、がんによる卵巣摘出を行った人などに見られる膣の壁の細胞の萎縮です。また、傷つきやすくなった細胞により萎縮性膣炎を起こしやすくなります。性交渉の際に痛みを感じ、挿入が難しくなったり、傷つきやすくなった膣から出血したりすることもあります。

実は、この膣萎縮が私にも起こりました。更年期障害もなく、がんもやっていませんが、おそらく30代後半のひどい全身性のアトピーを患ったのが尾を引いたものと思います。入院レベルの壮絶なアトピーだったので全身が硬直するような状態が1年続き、生理不順などのホルモンの不調などは見られなかったものの、その時期はホルモンも低下し、徐々に腰回りへの血流を止めてしまっていたのかと思います。その後2年ほどかけてアトピーが治り復活した後は、オーストラリアの留学も決めており、仕事の処理も相変わらず忙しく、長くハードに働き続けた後そのまま今度は数年間の猛烈な勉強ステージに突入しました。

確かに優先順位は仕事と勉強だったので、プライベートは二の次。コミットメントしなくていけない関係は全て遠ざけていました。が、でも、コンスタントではないですが、全く何もなかったわけではなく、まぁたまにそれなりに。なんとなく、徐々に膣がキツくなってきたなとは感じてはいましたが、そのまま放置していました。

ところが40歳前後まではまだどうにかなっていたものが、留学を開始し、猛烈な勉強期間の禁恋愛・禁欲の3年のブランクがあって45歳になって資格を取って一旦一息つき、それまで待っていてくれていた人と「さて」となった時には、いつの間にかタンポンも入らず、潤滑剤を使ったりどんなに頑張っても性交渉ができなくなってしまいました。

たとえ気持ちはあって実際に体が潤いはするものの、何を使ってもどうしても無理。初めての時とは比べ物にならない痛さで、物理的にどうにもならないんです。ありえないぐらいの何もできなさで「なんなのこれは!これもしかして閉経後の膣萎縮と同じやつ?」と思いました。気づいた時には遅く、すでにその場では何もできない。

その後また学位取得でさらに大変な1年が始まったのでまたそのまま放置。45歳は猛烈な勉強で初めて脳疲労気味になり、また、白毛が増えたりして、初めて自分のホルモンの低下や老化を感じ始めた時期です。

体の細胞や組織は、働きすぎたら増大していずれうまく機能できなくなるし、また、使わなければ神経も筋肉も萎縮していき、やはりうまく機能しなくなります。

全身アトピーのような長期にわたる慢性疾患は大きく体の細胞の状態に影響するのでしょう。やはり病気なんですね。体のエネルギーが病気の治癒に大幅に使われ、硬直しきった細胞の再生や老化予防のメンテナンスに余力が残らなかったのでしょう。そこに40代半ばになってからのホルモン低下と老化が加わって一気に悪化したようです。

結果、普通は閉経後に経験する膣萎縮を40代の閉経前に経験することになってしまいました。

その後、勉強も終わり日本に帰国し、今度は日本の圧とアレルゲンに久々に触れて、治っていたアトピーが再発するなど、また受難の時期が続きましたが、やっと全てが収まり、仕事も体も心も整い、「さて、恋愛するぞ!」と元気が出てきて活動を始めたわけです。

でもリレーションシップを築くにはこの大きな壁、膣萎縮をまずは治さないといけない。

もちろん元々スキンシップや性交渉は嫌いではなく、むしろ昔は人と比べてオープンでした。やっぱり、intimacy、スキンシップはすごく大切。ホルモンって、なくなってくるとわかりますが、過去を振り返えると、恋愛の勢いもぶつかり合いも全てホルモンの暴走と若さのエゴだったなぁと懐かしく思い出すわけです。あとかろうじて残っているホルモンがものすごく貴重に感じて、体を癒していきたいと準備に入りました。

この膣萎縮。まだ生理があるうちはそこまで急激には起こりませんが、閉経後は、例えば1年何もなかったら急激に細胞が萎縮しています。多分その違いに皆驚くと思います。

その程度や症状は出産の有無なども加わり人それぞれですが、細胞自体が薄くなっていき、筋力も低下するのは皆同じなので、何もしないでいると、たとえ挿入自体ができても、外陰部・膣内ともに痛みを感じやすく、傷つきやすく、出血などを起こすようになってしまいます。そのような状態で無理をすると傷つけてしまうだけで、さらに性交渉が嫌になってしまいます。

もしこれまで「疲れた」「あまりその気になれない」などの気分で性交渉に接触的になれなくなっている中で、実際痛みが生じようものならそれこそ当然「もう嫌だ」となってしまいます。

挿入だけが性交渉でも愛情表現でもないですが、その先に続くのが怖くなってスキンシップも減ってしまうことも大いにあり得ます。でも、人生100年時代、パートナーとのスキンシップによる穏やかな愛情のコミュニケーションはできたら続けていってほしい。歳をとったからといって、男女ともに愛情がいらないわけではない。

それに、もし膣の細胞で何かが起こっていると言うことは、膀胱や尿管の細胞も萎縮を始めていると考えて良いわけで、そのまま放置していると感染も起こりやすくなり、筋力も低下し、地味なトラブルでQOLが下がっていく可能性もあります。

基本的なことを忘れがちだけど、皺や白髪は酸化のサインで、外から見るのと同じように体の中の細胞でも酸化が起こっていて老化が始まっていると言うこと。老化は自然の流れなので抗う必要はないけれども、でも緩やかに穏やかにできたら理想的。

私自身も色々やりました。職業の知識も使い、自分でも実際に試して、安全な方法でこういうことができるよ、ということを次回ご紹介していきます。

あいからわず、長いね!でも書きたいことは全部書き切るよー!

③へ続く。