このシリーズ最終回(4つ、5つまで伸ばすのも面倒なので一気に公開)。ここからは膣萎縮を改善するための方法です。これはパートナーがいるいないに関わらずやれること、しておいた方がいいことなども含みます。
1:食事と腸内細菌
「また食事か!」と逃げないで(笑
やはりまずは食事。更年期障害も、ホルモン療法にせよハーブにせよ栄養療法にせよ、もし効くものが見つかったとしても『乗せるもの』の効果は長期は続きません。どんどん量を増やしていくことになります。また「良く効く」ものは必ず「副作用」もあるのが世の常。今の科学でわかっていなくても、将来的に科学が後で追いついてきて「副作用」がはっきりしてくるものです(それでも西洋医学の場合は「効果>副作用」であれば、効果を優先するのが常ですが)。
逆に食事を整えたら、症状は半分以下に減ることも多く、特殊な治療を行わなくてもコントロールできるようになることが多いです。閉経後も同じ。お酒の飲み過ぎ、甘いものの食べ過ぎ、小麦の摂り過ぎなどは、血流を促し細胞に栄養を与えるどころか、それを全部奪っていき、体の炎症を起こしやすくします。
お酒・甘いもの・小麦は適量に、そして、普段は加工食品・加工調味料は控えホールフーズをいただくこと。普段食事には気をつけているつもりの人も、冷蔵庫にドレッシングなどたくさんの加工調味料はありませんか?それらには隠れ砂糖が潜んでいます。強い味がないと食べれない場合は、すでにだいぶ化学物質・隠れ砂糖に毒されている証拠。それらはやはり健康な細胞を作るどころか、酸化を増やして、健康な細胞に直接的にダメージを与えます。
外から見える皺・白髪も酸化のサイン。体内の細胞にも同じように酸化が起こっているので、まずはダメージを与えるものを減らしましょう。
あとは食事に、豆腐などの伝統の大豆食品や豆類、アマニ油、おやつには葛など、フィトエストロゲンの多い食材を日々の食事にしっかり摂り入れて。
また、膣や子宮にも乳酸桿菌などの細菌叢がたくさん住んでいてpH値や免疫を整えてくれます。膣内や尿管などの細菌叢のバランスが悪いと感染が起こりやすくなります。海外だと膣に入れる座薬のプロバイオティクスなどもあるので膀胱炎や膣炎を繰り返す人は利用されるのも良いですが、体は全て繋がっているので、そもそもお腹の腸内細菌叢のバランスが崩れていると、どんなに局所的・一時的に細菌叢のバランスを整えても、膣や尿管周りの免疫が再び崩れやすくなります。
お腹の症状がないという人も、これまで抗生剤を1度でも飲んだことのある人はすでに生まれた後に培った多様な腸内細菌叢は崩しているので、たまに色々な種類のプロバイオティクスを摂ってメンテナンスし、お腹の腸内細菌叢を整えてあげることが有効です。ポイントは色々な種類。プロバイオティクスもローテーションで変えて、また、食事からさまざまな種類の発酵食品を摂ると良いでしょう。
2:定期的な性交渉やセルフプレジャー
何よりも、可能であるならば定期的に性交渉を行うか、または膣に刺激を与えること。これがすごく重要。
やはり使っていないと神経も細胞も萎縮していきます。セックスパートナーが誰であるかは問いません。そこは個人の自由。ただ、できるのであれば月1でも数ヶ月に1回でも良いので定期的に性交渉を行うか、もしくはパートナーのいない人はセルフプレジャーも活用して。
最近は女性のセルフプレジャーについて「罪悪感を感じないで!」「自分自身を愛して」と言うメッセージとともにいろいろな記事がインターネットにも出ていますし、昔と比べて多くのセックスコーチの方が活躍されています。
また、男性目線のグロテスクなセックストイでなく、女性目線で作られた実用的で可愛いものもたくさんあります。国内ではイロハも可愛いし(流石のジャパンクオリティと感心します)、海外ではSmile Makersなどそれこそたくさんあるので検索してみてね。動物型の可愛いアイテムもあるよ。
自分好みのものを見つけるのって実は結構大変。膣萎縮に関しては、外の快感がメインでなく、定期的に中に挿入することがポイント。なので、好みのものを見つけるのは本当に難しい。1、2個試して「やっぱり自分は無理みたい」と諦めないで、気長に根気よく探してみるのもポイントかも。
そもそも男性任せで「自分はどうされたら気持ちが良くなるか」について女性自身自分が一番説明できなかったり、セルフプレジャーでも挿入に抵抗がある人はすごく多いと思います。
興味があるけれども抵抗感が強い人は、まずはセックスコーチ・ラブコーチの人たちが話すセルフプレジャーの話などに耳を傾けて意識改革をしていくも良いと思います。先日触れたセックスコーチのおちさぎりさんが、10月2日&9日にセルフ・ラブのインフルエンサーが集まってワークショップをする無料のオンラインフェスティバルがあるとの告知をされていたので興味のある方はぜひどうぞ( @sexcoachsagiribcn )。
サイズの小さいものから少しずつ無理のない程度に試してみてね。人によっては普通のセックストイは大きすぎて無理かも。膣萎縮で且つ膣が狭まっている人はそもそも何も入らないので、そういう人は普通のセックストイではなく以下の6番を参考に。
3:運動、ケーゲル体操、またはオーガズムを感じることで血流を促す
性交渉にせよ、セルフプレジャーにせよ、きちんとオーガズムを感じてください。なぜそれが重要かというと、男性器がそうなるように女性器も気持ちが高揚して興奮していくことでその部分の血流が一気に増加するからです。これは多分男性の方が良く知っていると思いますが、女性器も興奮してくると膨らんできます。その状態まできちんと持っていってほしいです。
女性陣、「今更、もうめんどくさい」もわかります(笑。わかる、わかる、わかるけれども、諦めないで〜
そこで初めて膣の血流が増加し、細胞が活性化し神経も目を覚まします。細胞も柔らかくなり、そして何よりホルモンが出ます。オーガズムの際に大量に分泌されるのはオキシトシンやプロラクチン。オキシトシンは愛情や多幸感を与えてくれるホルモン。これは多幸感だけをもたらすのではなく、痛みや体の不快感も解消してくれ、また絆を深めるホルモンです。赤ちゃんにおっぱいを吸われたお母さんが分泌するのがオキシトシン。オキシトシンは母乳を放出させ、赤ちゃんとお母さんの絆を深めますが、それがパートナー間でも同じように働きます。
もし、性交渉がなくても抱き合っていたらそれで十分幸福感を感じられるのであれば関係性に関してはそれはそれで良いと思います。ただ、膣萎縮を改善する点に関しては、できれば実際に性器で感じることが治療につながります。
たとえば普段パートナーとなかなかうまくいない人は、パートナーとセックストイを使ってオーガズムを得るのも良いでしょう。まずはオーガズムを求めることに罪悪感を持たないでほしいなと思います。そのために上述のセックスコーチなどセルフ・ラブを語る人たちの声を聞くのも有効だと思うのです。「ああ、こんなこと相手に伝えてみてもいいんだな」「こう言う伝え方があるんだな」という発想をもらえるかも。
セルフプレジャーも然り。何よりもセルフプレジャーで「自分はどうされたら気持ちが良くなるのか」がはっきりわかれば、それをパートナーに伝えることもできるでしょう。「疲れているし、それに無理をしてしたところで満足できないから」と言う理由で女性側が拒んでセックスレスになっているのであれば、その改善につながると思います。
また、血流を促すのには運動やケーゲル体操も効果的です。
ケーゲル体操は、横になるか椅子に座った状態で、お腹に力を入れないで呼吸をしながら、肛門・腟・尿道をお腹の方向にぎゅっと5~10秒間締めて、そして5~10秒間緩める、を5回1セットで1日3セット繰り返すだけ。具体的にトイレで排尿する際に尿を止めることでどの筋肉を動かすか確認できます。
4:リューブリカント(潤滑剤)の使用
痛みがあるとやはり性交渉もセルフプレジャーもうまくいきません。ただ、潤滑剤ならばなんでもいいかと言ったらそう言うわけではなく、膣の経皮吸収は体の他の部位の皮膚の40倍と言われています。当然、潤滑剤の成分は注意したいところです。また、コンドームを使用する場合コンドームとの併用で問題がないかどうかも確認が必要。
また、皮膚の弱い人は知っていますが、自然の成分だから皮膚に優しいとは限らず、ハーブなどの自然の成分でもマイルドな化学成分よりよっぽど刺激が強いものがたくさんあります。なので、オーガニックを謳った自然成分が入っているものでも、やたらたくさんの成分が入っていない、できるだけシンプルなものを選ぶと良いかなと思います。
今は海外にも国内にもいろいろな商品があるようですが、パッとおすすめできるのはこのYES。ここのローション。ウォーターベースとオイルベースがあります。私は皮膚全体オイル系はダメなこともあり、どのブランドのものにせよ、ベタベタしないウォーターベースが好きです。
私のクライアントさんでVital.lyを使っている人は、Vital.lyでも購入可能です(日本価格よりちょっと安いと思います)。YESで検索してみてね。
5:膣のモイスチュアライザーの使用
先日、閉経後の性交通に関してカモミール入り膣用ジェルがホルモン剤入りジェルと同様の結果が出た臨床研究をご紹介しました。これはハーブのフィトエストロゲン作用(エストロゲンと同じような働きをする作用)が膣においても働くという研究結果です。今では膣萎縮改善のためにホルモン剤が入ったジェルもありますが、やはり敏感な場所だからこそ自然なものをできたら使いたい。
膣のモイスチュアライザーは潤滑剤とは違って、数日ごと膣や外陰部に塗布するもの。少しずつ柔軟さを取り戻させます。
カモミール入りの膣用モイスチュアライザーで良い商品はこれから試してみるので確認できたらご紹介しますが、まずは上記のYESのモイスチュアライザー。アロエベラやアマニの種子エキスなど入っている成分が少なくシンプルで安心なのでおすすめ。
あと、やはりオイルなので私は使いませんが、出産に向けた妊婦さん用の膣用マッサージオイル(インティメール バーシングオイル)も人気があるようです。
またここで具合的な商品例は出しませんが、上述したプロバイオティクスの膣座薬とともにビタミンDやビタミンEの膣座薬なども海外にはあり、これらも膣萎縮を改善するのに効果的です。膣のモイスチュアライザーでこれらの成分も含んでいるものがあったらそれを利用するのも良いと思います。
膣のモイスチュアライザーはずっと使い続ける必要はなく、細胞の柔軟性を取り戻す間利用したり、またはたまにメンテナンスで利用するなどにして、それ以外は定期的な性交渉やセルフプレジャーなどでメンテナンスする形を取れたら良いのかなと思います。
6:膣ダイレーター
膣萎縮で完全に挿入が難しくなってしまった時に、最後の頼みの綱。膣を少しずつ広げていく訓練をするために使えるのがこの膣ダイレーター。このシリコンの膣ダイレーターキットは、心理的な影響で性交渉やタンポンを入れる際に膣が痙攣(膣痙)して挿入が困難になる、若い女性に多い性交困難症の治療でも使います。医療現場で利用されているものです。
潤滑剤を使い、挿入するのに無理のないタンポンより細いペン並みの細さのものから、慣れてきたら徐々にサイズの大きいものに移行して、少しずつ慣らしてゆっくりゆっくり広げていくもの。
市販のセックストイは大きすぎてとてもじゃないけれども使えません。膣萎縮や膣痙を持つ女性には恐ろしい代物。医療現場でも使われているこれらシリコンダイレーターを利用して、安心して使えるサイズからすこーしずつ自分のペースで訓練していけます。
Netflixのドラマ「アンオースドックス」で主人公がやはりワギニスムス(膣痙)でこれを使っていましたね。
と、以上6点。手遅れにならないうちに、少しメンテナンスをしてあげてみてください。
それから、気になる40代、50代のセックスレス。働き盛りのこの年代。男女ともに、ストレス・副腎疲労による性欲低下も多いに関係があると思います。私も実際ストレスで30代にして性欲がなくなった時期があり密かに悩んでいました。副腎疲労に関しては、また別途記事にしていきますね。
まずは、年齢の経過とともにシリーズは一旦これで終了です。長い記事、お読みいただきありがとうございました。
もちろん、閉経に向けて総合的に体を見直したいと言う方はコンサルでご相談ください!諸々の膣座薬なども含めて必要なものをご紹介していきます。