昨日は、朝コンサルテーションをしてから、午後は医心方の勉強会に行ってきました。
日本に帰る前から楽しみにしていた勉強会。
医心方は平安時代から江戸時代にかけて書かれた日本最古の医学書で計30巻あります。医学の心得から、各疾患の療法、食養、養生法が網羅されています。この医学書はもともと漢文で書かれていますが、簡単に読み解けないように仕掛けがあったり、と、読み解くのにとても難しかった状態のものを、槇佐知子先生が40年かけて現代語に訳されました。
当時の医療のほか、中医学で使用するハーブはもちろんのこと、日本の伝統のしきたりであったり、おまじない的なものがあったり、美容法であったり、仙人になる方法まで書かれています。
毎月1回のペースで行われてる槇先生直々の勉強会。昨日は養生編と房内篇。良い子を産む方法などもありました。最終回の3月は一番楽しみにしていた食養篇。
ここ1年ほどずっと頭の中で考えていることは「本当の日本の伝統食って何だろう?」
日本の現代食は伝統食とはほど遠くなってしまいました。一般的に「伝統食」と思われている「白米と味噌汁、お醤油で味付けされたおかず」なども決して長い歴史があるわけではなく、本当の意味で「伝統食」ではありません。なので、日本に帰ってきてからは、昔の人が伝統的に食べてきたものを意識して調べています。本当に日本人の体に負担がなく、健康を維持できる食事を見つけたくて。
そもそも、醤油が多用されすぎている現代日本食にも疑問を持っています。なぜならば、現代日本食のレシピでは、醤油と一緒に砂糖も使ってしまうから。
砂糖消費大国の日本。お菓子やパンだけでなく、加工品、調味料やソフトドリンクには大量に隠された砂糖が含まれています。お米文化なので、糖質の多いお米に加えてそれら食品も摂っていると糖質の摂取が嫌でも高くなってしまいますね。
砂糖は百害あって一利なし。体内で炎症を起こしやすくし、鬱や不安症を悪化させるだけでなく、成人病や、がん細胞の餌になるなど、あらゆる病気の症状を悪化させます。アトピーは皮膚の糖尿病、アルツハイマーは脳の糖尿病とも呼ばれています。
オーストラリアでは比較的簡単に砂糖なしの食事や調理法をオススメできるのですが、日本ではどこでも醤油と砂糖が使われているし、人の意識にも、生活習慣にも深く入り込んでいるので、そうそう簡単にはいきません。
今は日本でも糖質制限がブームになっていますが、数ヶ月お米や炭水化物を控える程度では、何度も繰り返すダイエットと同じで、根本的な食事改善になりません。調味料や低脂肪食品などに含まれる糖分をまず減らしたり、炭水化物やタンパク質の質を向上したり、脂質の質を変えたり、食事の構成全体を変える必要があります。
その構成を日本人の体質に合ったものにしたいので、今、大昔の日本人が食べていたものと、日本の食材をどんどん勉強したいな、と思っています。
医心方に40年情熱をかけてこられてきた槇先生のお話はとても貴重で、また、勉強会にこられている方々も魅力的な人ばかりでとても刺激になっています。
槇先生は、文献としても貴重な医心方を世界遺産にするための活動もされています。日本に世界遺産になりうる医学書が存在すること、密かに保管されてきたことがロマンですね。(追記:世界遺産ではなく、歴史資料など世界の歴史に影響を持つ記録物を記憶遺産・世界の記憶として保存していくユネスコ認定の「世界の記憶」への登録だそうです。)
お近くの図書館に医心方があるかぜひチェックしてみてください。ない場合は是非リクエストをしてみてください。
写真は最近の朝食。シードとオリーブオイルを振りかけたかぼちゃと人参のスープとライ麦とナッツのパン。伝統日本食のことを書きながら、ライ麦パン。最近は、訳あってシドニースタイルに戻しています。その理由はまた後日!