ハーブやサプリの役割と自己治癒力

昨日のコンサルテーションで、健康への意識の高いクライアントさんからあるご質問があり、処方箋の中にその回答として説明の図を入れました。

ちょうど良いのでこちらでも公開してちょっと説明したいと思います。

スクリーンショット 2018-04-08 18.42.30

上記のAの青色の点線が本来健康を保つために摂るべき食事量と運動量だとします。Aのように食事と運動が必要量満たされていない状態が長期に渡り、そこにストレスや感染症などのトリガーが加わることによって不調な症状が現れます。どんな病気も事前に小さな症状・サインが出ているはずです。それを見逃したり、わかっていながら放置し続け長期化した時に、病気に発展します。

症状が起こってしまうまでに至ると、普通の食事量を摂っても細胞を修復できるほどの栄養素は食事からは摂れません。また、大抵このような場合は、腸内環境のバランスが崩れていてリーキーガットなどを引き起こしていて、消化器官の細胞が痛んでいることが多く、食べ物を多く食べても消化・吸収ができない状態になっています。

ナチュロパシーで行うことは、ここで食事をあるべき姿に徐々に戻し、不足分をサプリやハーブで補い、体が細胞を修復していくことをサポートします(B-1)。食事改善には時間がかかりますが、徐々に改善していき、並行して、サプリやハーブで体が正しく消化・吸収・代謝を行えるようにサポートを続けます(B-2)。体が消化・吸収・代謝ができる状態に戻ると、傷ついた細胞に栄養が運ばれ、何度か細胞の再生を繰り返しながら、細胞が徐々に元の健康な形に戻っていきます。この「細胞が元の健康な形に戻る」ことを自己治癒力と呼びますが、これには「正しく消化・吸収・代謝ができる体に戻す」ことが第一歩になります。自己治癒力が働き始めるとフルにサプリやハーブを取っていなくても少しずつ体は元に戻っていきます(B-3)。

なので、どうしても、数回のコンサルは必要になってきます。B-2、B-3の段階で症状を見ながら、サプリやハーブを状態に合わせて変えていきます。でも、一番肝心なのは食事を変えていくこと。体を作るのは食事で、病気を引き起こす体の状態を作るのも食事だから。

傷ついた細胞が元の形に戻るまでは思った以上に時間がかかります。症状がなくなるので、表面上は治ったように見えても、まだ細胞自体は傷ついた形のまま再生を繰り返しています。完全な形に戻るまでは数年を要すると考えてよいかもしれません。なので、症状がなくなっても、その状態をそもそも引き起こした食事を改善していかないと、いずれ再発し慢性化していってしまうのです。

なので、いろいろなものでサポートしながら、クライアントさんが少しずつ自分の力で自分の体を管理していけるよう、「ガンバレー、ガンバレー」と応援し続けるのが私の役目。

一方で、食事を改善しないまま薬で治そうとするとC-1のようになり、長く薬を続けると薬の副作用の対処のためにさらに薬が必要になり、または自己判断の不要なサプリなどを乗せてしまい、余計に体に負担を与えて基礎の栄養素までをも奪ってしまいます。そしてどんどんと症状もこじれて行ってしまいます。

また、現代社会で多いのがDのパターンです。

日常的に体のデトックスの限界以上の炎症性の食事(精製炭水化物(小麦、白米)、砂糖、肉類、乳製品)を摂りすぎている人が(D-1)、ストレスを慢性的に受け始めると全身で慢性炎症が起こり、病気の兆候が出てきて、それに対処するために薬やサプリを乗せてしまいます(D-2)。そういう人は一度食事の摂取量を減らして体の負担を減らし、体のデトックス機能を使って体を修復させる必要があります。それがこのようなケースの人たちの場合の「自己治癒力」の使い方(D-3)。現代食を摂り続け、生活習慣病になった場合などは、糖質制限や、食事を少なくして治癒力をあげる、という方法は効果的。

または、深刻なケースの場合ですが、ある特定の臓器のダメージがひどく、その治癒力をあげるために、一時期食事の摂取量を減らして体の機能をその臓器の細胞の修復に向かわせることはあります。ただ、その場合は、食事の摂取量は減らしても、栄養価は減らさないよう注意します。

テレビやメディアでとりあげられる健康のための方法というのは、このD-1のパターンを対象にしたものが多いように思います。対象は「食事内容の8割が精製炭水化物、プラス動物性脂質、そして過剰な砂糖と加工品」というような人々。

現実では、もちろん、AとDのミックスが多いです。コンサルでは、余計なものの摂取を減らしつつ、必要なものの摂取をあげて、食事が整う間、サプリやハーブでサポートしていく試みを行ないます。

とはいえ、こういうコンサルはそもそも自然の力で体を治したいと願う健康に意識の高い人が受けられることが多いので、もともとお食事に問題のない人もいます。

特に海外に住んでいる人は、バランスのとれた健康情報が非常に多く、またそれが生活に浸透していて、オーガニックフードもすぐに手に入るし、また、日本の「醤油+砂糖」の呪縛から逃れているので、もともとあまり悪いものを食べていない人が多いです。なので、却って、「もう少し(良質の)炭水化物を摂ってください」「ミネラルが簡単に摂れる肉を少し食べてください」と、一般に悪いと思われているものを食べてくださいということの方が多かったりします。(決して全粒穀類などの良質の炭水化物もオーガニックの赤身肉も悪者ではありませんが)

ま、要するに何が言いたいのかというと、メディアに惑わされないように。その内容が、誰、どのパターンの人を対象に話しているのか、自分の状態はどれなのか、を把握しながら、情報を消化してうまく利用してみてください。そして、自分がどういう状態なのかを把握するのに、ナチュロパスのようなホリスティックな観点から物を見れる人のアドバイスを一度受けてみるのもとても有効かと思います。

私でも、Aさんには赤身肉食べちゃダメといい、Bさんには赤身肉食べてと言い、Cさんには糖質減らしてと言い、Dさんには炭水化物増やしてと言い、Eさんには亜麻仁油摂ってと言い、Fさんには亜麻仁油はダメと言い、Gさんには活性型ビタミンBを摂ってと言い、Hさんには活性型ビタミンBはダメだと言います。本当にそれぞれの体質・症状・生活・性別・年齢次第でアドバイスは異なります。

食事方法にしろ、サプリにしろ、処方にしろ、絶対に、one size fits all(皆に合う1つの方法)は存在しません。

こんなことを書いていたら、しほちゃんもちょうど同じようなことを書いていました。きっと迷える子羊が多いのでしょう。

みなさん、サプリも肝臓の代謝が必要なものが多いので体の負担になるからむやみやたらに摂らないようにね〜

おやすみなさい