「することモード」と「あることモード」

湯治先の北海道に来て最初の1週間は3食・温泉付きの宿に泊まっています。朝6時にひと風呂入り、朝食後にラジオ体操か散歩で1日が始まり、仕事があれば短時間で仕事をし、あとは湯治・食事・軽い運動の繰り返し。状態が結構良くなっているので、初日から気持ち良く過ごしています。完全にワーケーション。

稚内についてすぐいただいた海鮮丼。最高。

冒頭の写真は散歩コース。視界に入るのはほぼ空と緑。北海道でもこの宗谷地区は不思議と癒しの力が強い感じがします。否応なく都会のどろっとした憑き物が剥がれ落ちていきます。

マインドフルネスでは心理の状態を表すのに「Doing mode」と「Being mode」と言う言葉を使います。「Doing mode」は「することモード」。目的・ゴール・問題の解決に向けて状況を分析し、プロセスを設定・計画し、実行するモード。人は皆、大なり小なり常のこの「することモード」をオンして生活をしています。

食事を作る、子供を送り迎えする、納期までに仕事を仕上げる、家族や仕事の問題を解決する、など全てが「することモード」です。現代の生活は油断しているとこの「することモード」が常にオンになります。「することモード」がオンであり続けるがゆえに、問題解決・ゴールの実現に対し評価され続け、うまくいかない場合に「できていない」というジャッジが下り、ネガティブになったり、ストレスを受けることになります。

でも、この「することモード」、生活をする上で絶対的に必要です。そのために人の体は「することモード」に対応できるように毎朝8時頃ストレス対応ホルモンのコルチゾールを適量分泌します。ただ、この「することモード」を過度に働かせたり、不要な時にもオンにしたり、夕方以降夜にもオンにしていると過剰なコルチゾールでバランスを崩し、慢性的なストレス状態や副腎疲労、ネガティブな心のループをも引き起こすことになります。

それに対し、「Being mode」は「あることモード」。物事や自分自身の体・思考・感情を、分析・評価・賛否なしで、あるがままの状態で受け入れる、ただ、あるがままを五感で感じること。ジャッジをしない。

川の流れ、風の音、雲、光、自分の呼吸、感情、体の痛み。あるがままをそのまま感じることです。

マインドフルネスは、この「することモード」のオンオフをきちんと切り替える、また、不要なことに対して「することモード」をオンにしないよう、「あることモード」を訓練することでバランスをとっていこうとする試みです。

講座やコンサルで常に「交感神経は簡単にオンになるけれども、現代人の副交感神経は今では訓練なしにはオンできないから訓練しましょう」とお伝えします。マインドフルネスは、呼吸法や瞑想などと同様に副交感神経にシフトをする訓練としてとても有効です。

私もこれまでの経緯と仕事柄「あることモード」に意識は高い方であるわけですが、いかんせん、過去の企業勤めの際に徹底的に「することモード」が骨の髄に染み入るまで訓練されていて、断然「することモード」優勢。

ましてや、東京の生活なんかでは相当意識しないと「あることモード」になれません。だって、東京の生活なんて周りに目を向けてもほぼ人工物しか目に入らない。「あるがまま」に想いを馳せる対象もないわけで。そこに体の不具合が重なると心理的にも肉体的にも罠にかかって檻の中に入れられ囚われた感じになります。

今回、この豊富の滞在中、「あることモード」にどっぷりつかり、一度全てをリセットしようと思います。