お腹マッサージの威力

先日、今リンパと免疫ケアにフォーカスしている自身のアトピーの話を書きました。

お腹にもリンパ管はたくさんあってリンパ節もあるので、MLDリンパマッサージではお腹もマッサージをしてくれるのですが、私のお腹は硬いんです。

アトピーがあるくらいだから私の腸内環境は決してよくないはずなのですが、特に便秘や下痢など消化器系の不調はないのと、あと、ヒスタミン不耐症なのでアレルギーシーズン中は発酵食品も食べれず、また、プロバイオティクスも強ければ強いほど悪化し、ヒスタミン不耐症でも飲めるプロバイオティクス株はそんなに効果も感じず、これまでお腹周りの治療は消極的でした。

たまに、刺激から腸壁を保護し傷んだ腸も修復するスリッパリーエルム単体や、腸の抗炎症に良いリコリスや腸の修復の筆頭ハーブアロエなどと一緒に配合されたリーキーガット改善・腸修復サプリなどを摂るぐらいで、この仕事をしている割には意外とお腹は手付かず。

昔からマッサージでお腹を触られるのも嫌だったので、自分でもあまり触っていなかったし。

でも、MLDリンパマッサージで触られるのは嫌じゃなかったんです。なんでしょうね、身体全体がリラックスするからなのか、優しいタッチなので抵抗がない。多分、ロンブラージュの小泉さんの技術がとても上手なのかと思います。

で、そこから硬いお腹に自己反省し、家で自分でドラマを見ながらお腹マッサージをするようになりました。初めは少し抵抗があったものの、少しずつ慣れて今は毎日やっています。

そうして過ごしていたら、ボディワークとハーブと両方のリンパケアと免疫ケアの効果もあるのかと思うのですが(免疫ケアもすごく大きい)、ある時から皮膚の状態がぐんと良くなった気がして。あとお通じもいつもより良いし、便の量も多いし、たまに柔らかい便が出るのですが悪い柔らかさではなく、なんとなく「お掃除されてる感」のある感じ。

ちなみにですが、体の調子は便だけでなく尿にも顕著にでます。本当に調子が悪い時は尿が濁ります。でも今年に入ってからはずっと濁りのない綺麗な尿。本当に綺麗でキラキラ光ってます。流れている血液自体と腎臓は悪くないみたい。

皆さんも便と尿の状態はできる限りチェックしてね。良い尿は薄い黄色で透明で臭いもなく綺麗、良い便はバナナ型で茶色、これも臭いはキツくありません。

と、とにかく、ここのところ、何かが変わった感じがするのですが、お腹マッサージの効果のような気がしてきました。お腹の宿便が出てお腹が綺麗になっていてそれが皮膚に反映されている感じ。でも、なんかそれだけではない何かを感じていて「お腹マッサージ、便を出すだけじゃないぞ。これはなんだろう?」と思い始めました。

リンパも流れているのかと思うのですが、なんだか、物理的にも心理的にも何かすごくデトックスされてる感じがする。

で、調べ始めたところ、どうやらお腹マッサージは、慢性便秘だけでなく、IBS(過敏性腸症候群)、慢性疲労症候群、自律神経調整などにも良いことがわかってきました。特に中国のマッサージの一種推拿(すいな)でその効果が発表されているようです。お腹マッサージは自律神経を整えるのにも利用されていますが、慢性便秘や便秘型IBSはさておき、下痢型のIBSや慢性疲労症候群など、なぜお腹マッサージが良くなるのかその詳しいメカニズムはまだ解明されていませんでした。

IBSはその病理メカニズム自体が解明されていない疾患ですが、脳腸相関の異常、消化管運動異常、内臓知覚過敏が存在します。簡単に説明すると、IBSは、ストレスと心理的要因の両方がトリガーであることが多く、食べ物が腸内を通過する速度が速くなったり(下痢)、遅くなったり(便秘)と調整ができなくなり、腸内の環境に過敏に反応して痛みや不快感を感じやすくなります。下痢型、便秘型、下痢と便秘の混合型に分けられ、自律神経の調整が難しくなる人もいます。

最近の動物実験でお腹マッサージが腸管神経系(enteric nervous system :ENS)にどのような効果があるのかが少し見えてきたようです。ENSは最近よく話題になっている脳腸相関におけるストレス・メンタルと腸の関連だけでなく、消化管の運動性そのものにも重要な役割を果たしています。

ENSは抑制性ニューロンや興奮性ニューロン、胃腸機能の制御を司る腸管グリア細胞(EGC)、重要な神経栄養因子で、腸管ニューロンの増殖、成熟、生存の調節に関連するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)などから構成されています。IBSでは、健常な腸と比較して、抑制性ニューロン、興奮性ニューロン、およびGDNFの全てが減少またはダウンレギュレーションされており、EGCでは染色体の一部が減少、一方でミトコンドリアは増加、腸粘膜における肥満細胞が増加しているそうです。

この研究では、継続的な腹部マッサージが、腸通過障害を改善し、炎症を改善、肥満細胞を減少、また、抑制性ニューロン・興奮性ニューロン・GDNFを増加させ、EGCにおいてヘテロクロマチンの密度を増加させ、ミトコンドリアの数を減少させる可能性があることが示されました。

簡単に説明すると、お腹マッサージを続けると、お腹の中で失われていたニューロンが再生され、細胞が生き返り消化機能が再生、内臓知覚過敏が改善することがわかりました。

すごくないですか?薬や、ハーブや、栄養素でなく、「お腹マッサージ」が、です。

そして、肥満細胞はヒスタミンを出す細胞。アトピー患者も肥満細胞が増加していることが多いです。

身体の表面の皮膚だけでなく、皮膚と一続きの腸粘膜が食材やアレルゲンに反応することで、やはり皮膚に影響してきます。なのでヒスタミンの多い食べ物を食べるとすぐに反応が出てくる。腸壁でまずは肥満細胞が増えるからでしょう。それは体感で実感しています。お腹マッサージでお腹の肥満細胞が減ったのかもしれません。リンパのマッサージにもなるので過剰な免疫細胞をリンパで上手に流しているのかもしれないし。

この研究で分かったことは自分の体感と合致するのですごいな〜と感心してしまいました。

また、お腹マッサージとMLDリンパマッサージのどちらがいいのか、という点に関しては、機能性便秘におけるお腹マッサージ、MLDリンパマッサージ、電気刺激の効果の違いを測る実験で、MLDリンパマッサージで一番効果が見られました。自分でお腹マッサージをして、たまにプロにMLDリンパマッサージをしてもらうといいかもしれないですね。

いやはや、マッサージ効果すごいです。

ちなみに私がやっているお腹マッサージを別ページでご紹介します。こちらからどうぞ。

  • 参考文献
  • Li B, et al. Abdominal Massage Reduces Visceral Hypersensitivity via Regulating GDNF and PI3K/AKT Signal Pathway in a Rat Model of Irritable Bowel Syndrome. Evid Based Complement Alternat Med. 2020 Jun 5;2020:3912931. doi: 10.1155/2020/3912931.
  • Li H, et al. Chronic fatigue syndrome treated by the traditional Chinese procedure abdominal tuina: a randomized controlled clinical trial. J Tradit Chin Med. 2017 Dec;37(6):819-826.
  • Bu FL, et al. A systematic review of Tuina for irritable bowel syndrome: Recommendations for future trials. Complement Ther Med. 2020 Aug;52:102504. doi: 10.1016/j.ctim.2020.102504. Epub 2020 Jul 13.
  • Drouin, J. S., et al. Comparisons between Manual Lymph Drainage, Abdominal Massage, and Electrical Stimulation on Functional Constipation Outcomes: A Randomized, Controlled Trial. International journal of environmental research and public health, 2020;17(11), 3924. https://doi.org/10.3390/ijerph17113924