20代半ばのMさん、症状は頭部と手の震えでした。
10歳頃の学校の体育の授業で前転を行った際に、頭部の震えが起こったのを機に、以後、物理的・心理的な原因で、頭部もしくは両手に震えが起こるようになりました。病院で精密検査をするも、何も異常は見つからず、西洋医学での治療は限界があったようです。
その後、治療は行わないまま日々を過ごされていましたが、およそ月に1、2回しか起こっていなかった震えのエピソードが、生活環境の変化から、コンサルテーションを行う直近では、日に2、3回に増え、それに加え、睡眠障害も起こり始めていました。
コンサルテーションでは、主症状の他に、肉やお米を摂取した際の鼓腸、手の湿疹、息苦しさ(心臓の重み)、冷え性などが判明。また、虹彩学(イリドロジー)でも、結腸部分の鼓腸の傾向や、ストレスを受けやすい傾向、不安障害の傾向が見られました。
コンサルテーションを行った上で調査した結果、考えられるのは本態性振戦の可能性。
ナチュロパスは病気を診断をすることは許されていませんが、症状を元にアセスメントは行い、可能性のある診断を想定します。それにより、生理学的にどのようなアプローチが必要になるのか、トリートメントの方針を立てることができ、また、医師へ誘導すべきかを判断することもできます。
震えの症状を引き起こす病気や原因はいくつかありますが、Mさんの症状は、本態性振戦の特徴に全て当てはまりました。本態性振戦は、原因不明で現在は治療法がありません。心理的ストレスや、疲労、睡眠不足、刺激性のある飲み物などが症状を引き起こすきっかけになります。
Mさんの場合、過去数カ月に大きく生活が変わりストレスが増したことが、症状が一気に悪化した原因だと推測されました。
Mさん向けのトリートメントプランの目標は;
1心理的ストレスの軽減(緊張の軽減)
2物理的な症状の軽減(筋肉及び脳神経へのアプローチ)
初回のコンサルテーションでの処方は;
- ホメオパシー的特徴をもつミネラルサプリメント別名セロイド:P.P.M.P(Potassium phosphate & Magnesium phosphate)
- バッチフラワーレメディ
- 心理カウンセラーによるカウンセリング
- ストレスマネジメント
- 食事改善
予算の都合から、栄養サプリは最小限に抑え、極力費用のかからないものを選びました。まずはP.P.M.Pとバッチフラワーレメディを二週間摂取して様子を見ることにしました。
一回目(二週間後)のフォローアップの処方:
- 肝油(Cod liver oil)を追加
二回目(一ヶ月後)のフォローアップの処方:
- ホメオパシックレメディへ変更
二回目のフォローアップでは、さらにもう一歩進んで改善させるため、P.P.M.Pとバッチフラワーレメディをホメオパシックレメディに変更しました。使ったレメディは、ライコポディウム(Lycododium)。
ライコポディウムに切り替えた後は、Mさんを悩ませていたひっきりなしに発生する震えは大幅に軽減。心理的な緊張からの震えはほぼなくなり、物理的に重いものを持ったりするときのみに改善することができました。その後、Mさんはライコポディウムで症状をコントロールすることができるようになりました。
長年患われていた、原因不明・治療不可能と思われていた症状が、ホメオパシーで改善した印象深い症例です。