ナチュロパシックコンサルテーション症例2

次のケースは、30代後半のAさん、女性です。Aさんは、20数年、過食と胃痛を繰り返されていました。

過剰な食欲が始まったのはティーンエイジャーの頃。食事をしても、実際に胃が膨れ上がらないと満足せず、不快なほどに胃がぱんぱんになるまで、お菓子や果物などを食べ続けてしまいます。過食症とは異なり、嘔吐や下剤の使用は伴いません。

そのまま食べ続けていると、数ヶ月のちに胃痛が起こり始めます。整腸剤や胃薬を服用しますが、吐き気を伴うほどに胃痛がひどくなっていきます。痛みが限界を超えて食べれなくなり、やっと食欲が収まりす。胃の痛みが治るまで、しばらくの間は食欲がなくなりますが、そのうちよくなってくると再びあの食欲が戻ってきます。そうして、食欲をコントロールができないで食べ続ける時期と、胃痛で食べれなくなってしまう時期、のサイクルを繰り返します。このサイクルを年に2、3回ペースで、20数年続けてこられていました。

コンサルテーションを行った際は、ご自分の生活や食生活を見直されて大きな改善を行われた1年後だったので、胃痛の程度がひどくなる前に食欲を抑制することができ、整腸剤や胃痛薬を飲まないで過ごすことができるようにまでなられていました。ただ、胃が痛くなるまで食べ続けてしまうのは変わらないので、過食の食欲自体をコントロールできたらというのが、Aさんのご意向でした。

コンサルテーションで、他の器官をさらううちに浮かび上がってきたのは低血圧と頭痛・偏頭痛。特に頭痛・偏頭痛も食欲と同じ期間、およそ20数年悩まされていたようです。典型的な偏頭痛の症状の他に、いくつか異なるタイプの頭痛も含め、動けなくなるような程度のひどいものもあり、一回発生するたびに数日から1週間痛みが続きます。そんな症状が月に1、2回。アスピリンや頭痛薬も20数年常用されていました。

食欲について考えられたのは、英語でBinge eating disorder、過食性障害です。

程度のひどい低血圧と、慢性頭痛・偏頭痛、そして過食。骨格と低血圧との関係、低血圧と骨格と偏頭痛との関係、薬の常用と頭痛の関係、そこに過食が絡んできます。全てが慢性で、長い時間をかけて絡み続けてきた糸をほぐす糸口を探すことになりました。

Aさん向けのトリートメントプランの目標は;

1:過剰な食欲の抑制
2:低血圧の改善
3:胃壁の修復と消化機能の向上
4:頭痛・偏頭痛の改善

トリートメントを二段階に分けます。

第一段階:上記1から3
第二段階:食欲が整った後に、4

当初プランした処方は以下の通り;

ホメオパシックレメディ
プロバイオティクス配合の腸内環境を整えるサプリメント
ハーバルフォーミュラ
食事療法(低血圧向け食事方法)

過食性障害は、精神的な要因も重要です。精神面、肉体面両方に働くホメオパシーを選びました。ホメオパシーは特にこのような精神面、肉体面が複雑に絡まった症状に効果を現します。

一方、荒れた胃腸壁がリーキーガットを引き起こしていることは推測でき、そのために、十分に栄養を吸収できていない可能性、ひいてはそれが精神的なバランスを整えるのに必要な栄養素の吸収を阻害している可能性が考えられました。よって、精神だけでなく、身体と精神の両方へのアプローチを行います。

プランは上記のとおり整えましたが、Aさんは遠方にいたため、サプリメントとハーバルフォーミュラがお届けできませんでした。なので、それに代わるものは食事のアドバイスに変更し、最終的には、ホメオパシックレメディと食事療法のみ。処方したホメオパシックレメディはチャイナ(China)です。

ホメオパシックレメディを摂り始めてすぐに効果が現れました。お腹がいっぱいになる前に、食欲が満たされるようになったそうです。長いこと過食を患っていたので、普通にホルモンが満腹中枢に働く状態がどういうものなのか忘れてしまったいたようでしたが、きちんとそれを身体で感知できるようになったようです。

正しい状態がどういうものかを細胞と身体が思い出したら、治癒のスイッチは押されたも同然。チャイナで過剰な食欲が治りました。ただ、長く患っていたので、チャイナをやめるとまた食欲が戻ってくるようです。身体がしっかり元の記憶を呼び覚まし、その状態を定着させてもらうよう、しばらくチャイナを摂り続けていただいています。

  • 上記トリートメントは詳細なコンサルテーションを行った上で個人向けにカスタマイズされた内容です。どなたにでも利用できる内容ではなく、また、個人の病歴や服用されている薬やサプリで、禁忌や相互作用が発生します。治療においては、専門家の指示に従ってください。