最高に美味しい調理法

テレビで糖質制限ダイエットが取り扱われるたびに耳を覆いたくなります。白砂糖は百害あって一利なし。それは確か。でも、糖質は?

もともと「糖質」と「食物繊維」が合体した完璧な形だった良質な炭水化物を、安価に大量生産して利益を得るために「食物繊維」を剥ぎ取って白米やパンの「糖質」だけにしたのは我々現代人。なのに、まるで、脂質とコレステロールを悪者にした80年代と同じように、炭水化物を自分たちで丸裸にした挙句に、その「糖質」を悪者扱い。

80年代に悪者にされた脂質を排除するため開発された「低脂肪」食品では、脂質の代わりに糖分が添加され、精製に精製を重ねたおかけでもはや「炭水化物」ではなく「糖質の塊」になってしまった主食と加工食。過去30年の過剰な糖の摂取により体の酸化と炎症が進み、肥満だけでなく、あらゆる疾患に影響することがわかってきたため、糖の摂取を控えることは欧米のヘルスインダストリーでは今では常識になっており、特にパレオダイエットはアメリカでは根強い人気です。その流れを受けて、今、日本で糖質制限ダイエットが流行っています。

しかし、パレオに代表される「糖質制限」と、今日本で流行っている「糖質制限ダイエット」は根本的なところが全く違います。

パレオは食材の選定が非常に厳しいです。食べれる食品を限定していく代わりに、口にする食材はオーガニックの肉と野菜。通り一遍のダイエットではなく、ある種の生活哲学です。一方日本では、あるテレビ番組で「糖質制限ダイエット」と称して、管理栄養士だかの資格を持った人が「炭水化物は食べてはいけないですが、他は何でも好きなだけ食べていいです。マヨネーズも好きなだけかけてください。」と、マヨネーズをかけまくった料理を出していました。ひっくり返りそうになりました。アメリカのFDAがトランス脂肪酸(マヨネーズにも含まれています)の使用禁止を決定したというこのご時世に、嘘でしょう?

心血管疾患に対し、コレステロール自体が悪者なのではない、という認識も、現在の欧米での常識になりつつありますが、あくまで、生活習慣に因る体内の酸化やトランス脂肪酸などの摂取は問題だ、ということとセットになっているのが、なぜか日本では、「コレステロールは悪者ではない。だから、マヨネーズも肉も良い。糖質が問題だから、お米はやめて肉を食べよう。」になっています。そして、オーガニックの肉なんてなかなか手に入らない日本では、ホルモン剤を大量に打たれた肉を、毒素を排除してくれる食物繊維もなしで、大量のトランス脂肪酸とともに体内に入れています。もう、ほんと、ムンクの叫びです。

「コレステロールは悪者ではない」や「糖質が悪い」だけが一人歩き。

1、2か月糖質制限ダイエットをして体重を落としたところで、大きくなっていた脂肪細胞がしぼむだけで、また元の食事に戻せば脂肪細胞もすぐに元の大きさに戻っちゃいます。本当に脂肪細胞の数が減っていくのは、一度体重を減らしてから4年ほどかかるらしい。減らした体重は4年キープして初めてリバウンドのリスクを回避できるということ。

体から病気の根源を除くためにも、炭水化物の『糖質』を抜くよりも、元の炭水化物食材から排除された『食物繊維』を追加して、炭水化物の『糖質』ではなく『砂糖』を排除していただきたいと強く希望します。はい。

炭水化物は量さえバランスを守ればいい、まずは砂糖を減らして。

日本は確かに砂糖と糖質の過剰摂取の危機に面しています。ただでさえ、糖質の高い白米文化と、ほぼセットで砂糖を使う醤油文化の上に、多量の砂糖を使うパン食や加工食・清涼飲料・お菓子で、糖分の摂取が異常なことになっています。

糖分の過剰摂取は体重だけではなく、気分のムラ、イライラ、不安症、鬱、婦人科系疾患、更年期障害、アトピー、自己免疫疾患、自閉症、ADHD、アスペルガー、心血管疾患、アルツハイマー、あらゆる慢性疾患とガン、これらの症状に砂糖の摂取は影響します。

「うちは、ちゃんと食事を作って用意していてヘルシーだから大丈夫」と思っている方、パスタのソースやカレーのルーは、スーパーや高級食材店で買ったものではありませんか?低脂肪ヨーグルトなど、低脂肪を謳った食品は摂っていませんか?ケチャップ、マヨネーズ、砂糖入りの調味料、缶詰類を食べていませんか?パンの朝食は1週間に何日ありますか?

どきっとした人は、ドキュメンタリー「あまくない砂糖の話」が400円でレンタルで見れますので是非どうぞ。「そんなに悪いものを食べているわけでも、たくさん食べてるわけでもないのにあるお腹のたるみ」の原因です。

糖の過剰摂取は上に書いた通り、様々な疾患の症状に影響するので、コンサルテーションでは砂糖の使用を減らす処方箋もよく書きます。

オーストラリアでコンサルテーションをしている間は、食べ物の処方箋を書くのが比較的楽でした。お手本になるカリスマナチュロパスやカリスマニュートリショニストのブログやレシピも豊富。オーガニックショップも、ファーマーズマーケットもあって、砂糖を使用しない安心安全な食材が買えます。

オーストラリアでの「砂糖抜き」は、本人が砂糖禁断症状を耐えられるかどうかだけ、がハードル。でも、醤油&砂糖文化が深く根付いてしまった現代日本では、「砂糖を使っちゃダメ?え?じゃあ、料理はどうやって作ったらいいの?」から。なぜならば、これまで教えられてきたレシピにほとんど砂糖が入っているから。なんたって、「料理のさしすせそ」は、砂糖の「さ」から始まるくらいですから。作れるもの、食べれるものがなくなるので「砂糖抜き」を始められない。

なので、皆さん、白砂糖の代わりになるものを一生懸命探します。三温糖、甜菜糖、米飴、アガベシロップ、はちみつ、ココナッツシュガー、ステビアなどなど。残念ながら、どれもグルコースかフルクトース。フルクトースは血糖値に直接影響はしないけれども、摂りすぎは肝臓に負担を与えます。そういう意味ではステビアが一番『糖』としての影響はないけれども、甘味料として手に入るのは高度に加工された白い粉。砂糖の代わりに大量に毎日加工されたステビアを摂取した場合の影響は誰も知りません。ハーブのステビアの葉っぱをそのままを飲み物に使うのは私も大好きですが、甘味料のステビアは好きではありません。

ま、砂糖の代替えはないと思っていいです。まずは、糖分の絶対摂取量を減らす必要があります。そのためには、まずは「料理のさしすせそ」にさよならを言って、料理の考え方を根本的に変えないといけません。

日本での処方箋のレシピ探しはものすごく苦労してきました。日本食からかけ離れたものではなく、醤油も使え、でも、砂糖はもちろんの事、できる限り不要な調味料を使わない料理法。

実はそれを解決してくれる調理法があります。それが、無水調理。野菜や肉を水を加えないで調理することで、栄養を逃さず、また食材の持つ甘みと旨みを最大限に引き出してくれます。調味料いらずな調理法。

今回は、「ストウブか無水鍋と、このレシピ本を買ってもらえたら、私が書かなくてはいけない処方箋が2ページ減る(普段8〜10ページ)。万歳!」という、みんなにとっても私にとってもお得な情報をご紹介します。

まずは、無水調理ができるストウブの鍋か無水鍋を入手しましょう。

こんなものや、

こんなもの

高いです。とても高いですが、一生物なので損はしません。

そして、これらレシピ本があれば鬼に金棒。調味料、特に砂糖、を使わなくても、すごく美味しく調理できます。

まずは大御所百姓屋敷わらの船越さんの重ね煮。この重ね煮を冷蔵で用意しておいたら、砂糖やスープストックなどの加工出汁も不要。野菜の甘みがたっぷりなので、様々なお料理の味付けに重宝します。船越さんの本では、鍋の中に宇宙を作る重ね煮の哲学に触れられます。

ひとつの鍋から幸せひろがる 野菜たっぷり重ね煮レシピ
船越 康弘/船越 かおり (著)

船越さんの本は基本的に肉類は含まれていないので、こちらの藤原さんのレシピも加えるとお肉料理へ幅が広がります。
ストウブで「重ね煮」

藤原恵美子 (著)

そして、こちらが最近出版された大橋 由香さんのストウブを使った無水調理のレシピ本。無敵です。今まで買った中で最高のレシピ本。お値段の3倍ぐらいの情報量と細かいところに行き届いた説明。超おすすめです。

ストウブで無水調理: 食材の水分を使う新しい調理法 旨みが凝縮した野菜・肉・魚介のおかず
大橋 由香 (著)

無水調理が「醤油と砂糖」文化の呪縛から解いてくれます。上質のミネラル豊富なお塩と上質なオイルだけあれば、なんでも唸るほど美味しく出来ちゃいます。

無水調理の良い点は:

  • 調味料をほとんど使わない
  • スープもスープストックなしで作れる
  • 栄養を逃さずに調理できる
  • 野菜がものすごく甘く美味しくなる
  • 作るのが簡単で楽

それから、ストウブで炊くご飯はものすごく美味しいです。玄米も圧力鍋よりおいしく炊けます。

食材への感謝の気持ちが3倍になります。ご飯を食べて、「生きてるって素晴らしい」と思えます。皆さんも是非お試しくださいませ。

ストウブのグリルパンが欲しいなぁ〜