心のトリートメント方法 その1 エニアグラム

会社員時代にストレスから体調を崩した後、食生活を改善するだけなく、心のトリートメントも本格的に取り組んだ時期がありました。

ストレスが原因で体調を崩すことはわかっていても、そもそもなぜ自分はストレスをストレスとして認識してしまうのか、そこを解消したくて。

ストレスはとても主観的で、自分がストレスと感じることが別の人はストレスと感じないこともあります。健康に影響するほどのストレスも、もともとの事の発端は「それくらいは乗り越えなくてはいけないなんでもない小さなチャレンジ」だったり、「こうあるべきだからやらなくてはいけないという最低限の責任感」だったり。できると思っていたし、やらなくちゃいけないと思っていた。気がつかないままその小さい小石が積み重なって、数年の時間をかけて大きな岩になり、自分の「何か」をゆっくりと押しつぶしていきます。

年を重ねて、親としての役割、会社の一員としての役割、自分の親を支える役割など、人生での役柄が増えていくに従って自分の人格にレイヤーが重なり、その「何か」の存在すら気づかないことも多いです。その「何か」が完全に押しつぶされそうになった時に体に不調が現れ、そこまで来て初めて自分の中に「何か」があるのかもしれないと気づく。でもその「何か」が何だかはわからない。それは潜在意識の奥深くにあるので普通には認知できないし触れられない。

前置きが長くなりましたが、その「何か」を探る方法として私が試して効果のあったいくつかの方法をご紹介します。

ひとつはエニアグラム。

エニアグラムでは人を9つのタイプに分けます。始めに100問の質問に答えて自分のタイプを占いのように割り出します。「そうそう、私ってこういうタイプだよね」とよく知っている自分がそこにいます。そこからスタートし、ワークショップでそれが本当の自分なのか?を掘り下げていきます。

ワークショップを重ねていくと「こうだと思っていた自分」の違う側面が徐々に現れてきます。多くの人が始めに割り出したタイプと違うタイプの自分を見つけ出すことになります。まさにPersonal Integrityのピースを発見する旅。

また、他の人々と一緒に行うワークショップを通じて自分と他人との違いを掘り下げていくので、自分の些細な言動の理由を知るのと同時に、他人の些細な言動にもそこに彼らなりの理由があることを学び、他の人々の個性の尊さも知ることができます。

私がエニアグラムをやっていた当時、会社の中で新しいファンクションを持つチームのチームリーダーをやっていました。何もないところから全く新しい機能を持つチームを立ち上げる、というところから始めたので、いろいろなチャレンジがありました。気心の知れた優秀なスタッフが揃っていたのでチームスタッフをリードすること自体にはストレスはなかったのですが、上と頻繁にぶつかり続け苦しい思いをしていました。当時は「自分が皆をリードしなくてはいけない」いう気持ちが強く、新しい機能を持つチームだったが故に不鮮明だった方向性をクリアにしようと意気込みすぎて、上とぶつかっていたように思います。

エニアグラムのワークショップを受けていると、周りの方達から「エニアグラムの本質がわかるある瞬間がくる」というようなお話しを聞いていました。エニアグラムを何度か受けて、自分のコアは実は自分が思っていたものとは違うことを知り(そんなことが起こりうるのです)、その「本当の自分」を受け入れるのに数ヶ月かかったり。その過程も結構ショッキングで、大事な転換のプロセスだったのですが、それよりも印象的な瞬間が「本当の自分」を受け入れようとしていたある日に突然やってきました。

会社でいつものように仕事をしていて、ふと席を立って同じフロアにいる周りの人々を見渡した時に、ふわっとフロア全体が白くなり、スタッフの一人一人がみな異なる色でキラキラ輝いているのが見えました。ものすごい綺麗な光景でした。いつもぶつかっていた上司もその人特有の色を放って控え目に輝いています。圧倒される光景で感嘆していたのですが、ふと気がつくと視界の下、すぐ近くに金色の光が見えました。なんと、自分の胸のあたりから出ていた自分の輝きでした。

その瞬間に「本当の自分」を受け入れられたのに気づきましたが、「自分を受け入れる=周りの一人一人も受け入れるということだ」ということにも気づきました。そして、それぞれの人の個性を尊重して大切にしていけば個々の輝きがもっと増すだろう、と。

その日以来、皆にゴールだけをシェアをして「ゴールを達成する方法は皆それぞれのやり方で自由にしてもらっていい、助けが必要な時は助けるからその時は相談してくれればいい。それまで思う存分好きなように自由にやって欲しい」と言えるようになりました。

それからは一人一人の個性が更に輝き、信頼関係も更に増し、本当に素晴らしいチームワークであらゆるチャレンジを乗り越え最高のチームを作り上げていく経験ができました。私自身も肩の力が抜け上とぶつかることも減っていき、ナチュロパスになるために会社を辞めるまで最高に楽しい数年間を過ごしました。

あの時期のことは本当に宝物のような経験です。自分のストレスの一部は自分の自信のなさからくるもの。そこを補おうと躍起になる苦しさだったのを知りました。自分のことが認められない限り、実は周りを認めることもできていないということを実体験で学んだ貴重な経験でもあります。

個性の美しさを私は上述のようなエネルギーの状態で見る経験をしましたが、きっとまさにそれが皆さんが言っていた「ある瞬間」で、異なる形でエニアグラムをされる皆さんが経験するものなのかと思います。

人との関わり方、私の場合は特に働き方が180度変わったよい経験でした。

エニアグラムは隠されていた自分自身を知るのにも、仕事の人間関係に悩む人にもいいですが、親子関係で悩まれている方にもとても有効です。

私は敬愛する日本のエリザベス・キューブラー・ロス、鈴木秀子先生が名誉会長をされている国際コミュニオン学会主催のエニアグラムワークショップに行っていました。

会社向けのエニアグラムもあります。私は、チームワークで仕事が動いていく一般の企業はどこも社内研修でエニアグラムを取り入れたら良いのではないかと強く思います。

長くなったので2つ目はまた次回に続きます。