中医学とナチュロパシー

お仕事で知り合ったお医者さまに紹介していただいた中医学の講座に立て続けに行きました。今日も1つ行ってきました。

ちょっと長くなるので、ナチュロパシーや自然療法、伝統医療に興味のない方はスキップしてもらった方がいいかもしれません。

中医学に関しては本を少し読んでいるだけで、これまできちんと学んだことはありませんが、中医学というものがどういうものなのかは大昔に10年近く中国に住んでいたので体験して知ってはいます。

日本で知られている漢方、鍼灸は中医学のほんの一部で、中医学は恐らく日本の一般の人が想像している以上に大きく完成された伝統的医療システムです。

中国にいた頃は、刺したかどうかもわからないのになんでも治してしまうものすごい鍼灸の先生、ギックリ腰でまっすぐ立てなかったおじさんの腰に手を当てるだけでおじさんにイナバウアーをさせ、しかも数百キロ離れたところから私の部屋を透視もした政府お抱えの気功の先生、たった1時間の施術で数週間治らなかった内臓の不調をぴたっと治してしまうリフレクソロジーの先生、気功の達人でもある按摩の先生、と、ものすごい先生たちに会ってきています。本物の気功の”マスター”は、体の不調ももちろん治せるけど、透視も超能力も、人の体の中も過去も未来も見えちゃって、という、そのレベル。そういう「ものすごい人たち」の存在はあれだけスケールの大きい国で暮らしているとある意味なんとなく当たりまえ。それよりもびっくりしたのが、あの大国での中医学と西洋医学の異なる2つの医療システムの共存と、その一般の人の生活への浸透の仕方。

文革で伝統文化が都会から地方の僻地に至るまで徹底的に破壊されて跡形もなくなくなっているのに、それとは異様に対照的に伝統医療はしっかり生活に残っています。(今、Wikiでみたら、国民党の伝統医学廃止運動に対立する形で毛沢東があえて伝統医学を復興して中医学にまとめたんですね、なるほど)

大昔、初めて行った中国の病院の受付で「はいはい、風邪と熱ね。じゃあ、中薬(漢方)と西薬(西洋医学の薬)のどっちがいい?」と聞かれてびっくりしたのをよく覚えています。病院には、普通の診察室と検査室の他に、カッピングや鍼灸の部屋もあったり。戸惑う私に受付の人が「ま、どっちでもいいわ。最後にどっちの薬がいいか言って。まずは診察」と。診察は両方できる先生で、どちらの薬でも選べるシステム。漢方も本格的なものが欲しければ漢方薬局で調合してもらうのも可能、でも、煎じるのが面倒な場合は、調合済みの漢方剤を処方してもらうのも可能。

「漢方効かなかったから、西洋の薬にして」やその逆も、東洋医学の治療か西洋医学の治療かを選ぶ選択肢が、皆に当たり前にあります。

漢方の生薬は、西洋ハーバルメディシンで使うハーブと被っているものも多いので、中医学の基礎がわからないながらもハーブの名前を聞くと何を目的に使うかが推測できます。

例えば、漢方でよく使われる柴胡はBupleurum(ブプレウム)、芍薬はピオニー、甘草はリコリス、桂枝はシナモン系のCinnamomum spp.、当帰はDong quai、大棗はジジフォス、として西洋ハーバルメディシンでもよく使うハーブ達。

ツムラなどで出している「逍遥散」など、みなさんがよく聞く「漢方薬」はすでに生薬がブレンドされたものですが、漢方も西洋ハーバルメディシンも本来は、個人の症状に基づいてハーブ(生薬)をブレンドして作るものです。何をどれだけというルールはありません。

漢方薬局では、その人の体質・症状に合わせ、漢方医が上の写真のような生薬が入った棚から生薬を取り出して症状に合わせて分量を決め、調合し、その人向けの漢方ミックスを作ります。ハーバルメディシンのプラクティショナー(ナチュロパスも)も同じようにハーブの調合をします。

個人の症状をコンサルテーションで聞いた後に、こんな感じの棚から、必要なハーブを選び出し(蛇足ですが、この棚の下の部分はホメオパシックレメディ!)、

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こんな風に5、6種類のハーブを調合します。

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そして、5人プラクティショナーがいれば、皆調合が異なり、5つの異なるハーバルミックスができるわけです。また、1人のプラクティショナーが5人の同じ病気の人向けにハーバルミックスを作っても、5人それぞれの体質・症状に合わせて5つの異なるハーバルミックスができるわけ。たとえ同じハーブを使って作れと指示を出したとしても、その分量・割合が必ず変わるはず。

漢方の調合でも、西洋ハーバルメディシンの調合でも、これら伝統医療システムの要(かなめ)はその人の体質・症状のアセスメント。そのアセスメントを元に、どのハーブをメインにおいて、どのハーブをサポートにおいて、どの臓器の何のバランスを取ろうとするのかを決めて、複数のハーブ(生薬)をミックスします。

この私の大好きなハーブのブレンディングは残念ながら日本ではできませんが、ハーブの種類を考える代わりに、サプリ形態のハーブ、栄養療法(食養とサプリメント)、生活習慣改善を用いて同じことを実現していきます。

どのような症状がどこに出て、それはどの臓器につながっていて、そこに何かが足りないのか、バランスが崩れているのか、ということを、複数の症状から紐解いていって、何をサポートするか決める。目的はどちらも「自己治癒力を高める」こと。

そのアセスメント方法を、ナチュロパシー(ハーバルメディシン)では、CAM(Complementary and Alternative Medicine) 診断とかCAMアセスメントなどと呼び、我々ナチュロパスはそれができるように何年もかけて訓練されます。ただ、ナチュロパシーも中医学と同様に、もともとは西洋で伝統的に存在していた医療システムを引き継いでいますが、歴史の中で、西洋医学に取って代わられた数十年間の間に診断法にもつながるエネルギーの表現が失われてしまいました。CAMアセスメントも、根本原因を探す方法なのですが、どちらかというと、病態生理や分子栄養学に基づいた切り込み方をします。現代のCAMアセスメントの中では、エネルギー的表現はしません。

今なぜ中医学を学ぼうとしているのかというと、中医学のアセスメントの方法を学んで、その失われた言葉の部分の穴埋めをしたいから。CAMアセスメントと中医学のアセスメントの融合ができたら更に物がよく見えるようになるのではないかな、と。

本を読んで、講座に参加し、少し弁証法の事をかいつまみ、同じ視点で見ているものを違う言葉で語る世界に踏み込み、ワクワク感が増しています。経験していて分かりますが、こればかりはいくつもケーススタディをやりこなさないと弁証法もできるようにはならないし、更に弁証論治とCAMアセスメント&トリートメントを重ねていくことも努力なしにはできなさそうですが、でも、ゆっくり勉強してみようかな、と思います。

長々とすみません〜。でも、今日の講座でも良い話を聞いたので、またご紹介していきます。今日はこれくらいでおやすみなさい。