子宮内膜症は珍しいものではありません。一般的には女性の10%に見られるとされていますが、それはあくまで診断されている患者の数字で、研究によっても有病率が異なるとされています。症状も治療が不要な軽いものから重いものまで様々なので、診断されていない人はもっとたくさんいるかと思います。
子宮内膜症は子宮内膜の細胞が、卵管や卵巣、または、子宮の外の腹腔内などに漂っていき、そこにある組織に癒着して起こります。
普通の人の体にもがん細胞が常に生まれているけれども細胞が自然死をしていくのでがん化することはないと言われているように、普通の女性の体にも子宮内膜片は漂っているけれども免疫の状態が正常であれば、それが周辺組織に癒着することはありません。免疫のバランスが崩れてる場合、子宮内膜片が組織に癒着して炎症を起こします。
そして、生理のたびにその部位で出血し続け、炎症と共に痛みもひどくなっていきます。程度がひどくなると、その痛みは出産の痛みよりもひどいことがあるようです。
オーストラリアにいた頃は子宮内膜症のクライアントさんがとても多かったです。日本では、子宮内膜症で来られるクライアントさんはそこまで多くないですが、病歴として子宮内膜症があると答えるクライアントさんはやはり多いです。
子宮の中で炎症が起こっていると比較的異常を察知しやすいので、婦人科にかかり発見される人も多いですが、子宮以外で起こりがちなうちの一つ、腸管子宮内膜症は子宮内膜片が腸管に癒着して起こります。この場合、消化器の不調と勘違いしてしまうことがあります。
わかりやすい、IBS(腸過敏症症候群)との症状との区別のリストがあるので、「いつもお腹に痛みがある」人は、以下をチェックしてみてください。もし腸管子宮内膜症に当てはまるものがある場合は、一度婦人科で検査・診断をしてもらってね。
IBSの症状
- 慢性の中程度の痛み
- 早く満腹感を感じる
- 食事に伴う吐き気
- 胃や腸の上部など、お腹の上の方で感じる症状が多い
- 逆流性食道炎がある
- もし生理が症状を増やす場合、ひどい痛みよりも便通の増加の方が多い
- もし排便時に出血がある場合、痔(切れ痔など)の可能性のある明るい赤い血であることが多い
- 食事の変化で症状が緩和することがある
- 幾つかの進行しているサインがあるかもしれないが、症状は基本的にあまり変わらない
腸管子宮内膜症の症状
- 慢性のひどい痛み
- 生理不順がある
- 生理とともに発生する症状が多い
- 排便時のひどい痛み
- 性交時の痛みがある
- 下腹部の痛みがある
- 膣に痛みがある
- 直腸(肛門のちょっと手前の腸)に痛みがある
- 座った時に痛みがある
- 四肢やお腹以外(お尻、腰、足など)に痛みがある
- 不妊や不妊の傾向がある
- 過去に子宮外妊娠や数回流産の経験がある
- もし生理が症状を増やす場合、ひどい痛みが多い
- もし排便時に出血がある場合、生理と関係する濃い血の色
- 食事の変化が症状を緩和することもあるが、痛みは変わらない
- 症状が時を経て悪化
ただ、子宮内膜症がある人はIBSを起こしやすいので、両方発症しているケースもあります。その場合は、両方からのアプローチが必要です。
あと月経困難症の人は子宮内膜症にかかるリスクが高いです。普通の生理はそれほど生理痛がひどくはありません。「生理がひどいのが当たりまえ。生理中は痛み止めを毎回飲むのが当たりまえ」と思っている人は一度婦人科にかかり、きちんと診断してもらいましょう。診断してもらい状況を把握し、食や生活を改善するなどして正しく「対処」することで症状も改善でき、お薬を飲む回数を減らし、内膜症に罹るリスクも減らせます。
ちなみに、私は婦人科系の問題があまりなかったので診断されたことはありませんが、ひどくはなかったものの生理中の排便時の痛みが昔はずっとありました。当時は「そういうものだ」と思っていました。食生活が大幅に改善したことと、エストロゲンの分泌が低下しつつあるのも影響しているのか、今はその症状はなくなり、長年あったものがなくなったら「ああ、あれは内膜症だったのか」と思います。
ナチュロパシーでは、子宮内膜症はエストロゲン過多の症状を改善したり、免疫を上げるなどして対応していきます。女性特有のこれら疾患の免疫にビタミンEが深く関わっているので、婦人科系ではビタミンEは重要です。
それから免疫やホルモンのバランスを崩す大きな要因の1つはストレス。この対処も大切ね。
- 参照:http://nezhat.org
- 参照:https://www.endomarchnews.or