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お母さんのう○ちだったのか!

まぁ、このブログでは自然のものに関しては、便にしろ、尿にしろ、更年期にしろ、EDにしろ、オブラートに包まないで話したいので、文字にモザイクかけないのでもいいのですが。

まだED(勃起不全)の話は書いてないけども。そのうち。

講座のおなかシリーズ1の「リーキーガットとディスバイオーシス」では、人の腸内細菌叢がどのようにして決まるかお話しします。

誰一人としてこの世に自分と同じ腸内細菌叢のバランスの人はいません。たとえ双子でも。

腸内細菌叢といったら、きっと「善玉菌と悪玉菌がいて、悪玉菌が増えるからお腹がおかしくなるんだよね?」と考える人が多いでしょう。

実は善玉菌と悪玉菌は全体の3割です。残りは全部日和見菌。「日和見」とは「形勢を見て有利な方に追従する」ということですね。善玉菌が多ければ、多数の日和見菌が善玉菌のように働き天使のように善玉菌をサポートするし、悪玉菌が元気であれば、多数の日和見菌が悪玉菌の応援団になってしまいます。

油っぽいもの、糖質の高いもの、甘いものばかり食べ、食物繊維が少ないと、簡単に腸内細菌叢のバランスは崩れます。

腸内細菌叢のバランスの崩れは今では糖尿病の発症の原因になることもわかっていたり、お腹の不調で出ていなくても、肝臓の疾患、メタボ、アレルギー、うつ、不安症、心疾患、自己免疫疾患など、様々な慢性病の9割に関わっていることがわかっています。太りやすくなる菌もいるので、痩せにくい人は太ってしまう菌が多かったり。

最近の煽り運転のニュースなど見ていると、どうもキレやすい人が多いように思いますが、そのキレている様子を見ているだけでも、完全に糖質過多の普段の食生活が見え、腸内環境の乱れも透けて見えるような気がします。

腸内環境を整えるために乳酸菌やプロバイオティクスを摂りましょうと言いますが、乳酸菌やプロバイオティクスを摂ったからといって、その菌がお腹に残るのは1日か2日程度で、そのあとは便とともに流れていってしまいます。

日本にはなぜか要冷蔵の生きた生菌が売っていませんが(海外では売っています)、室温のものはほとんど死んだ菌なので発酵食品と同様に腸内細菌の餌にしかなりません。まぁ、たとえ生菌を摂ったとしても、その菌がお腹に住み着くわけではありません。

じゃあ、何にためにプロバイオティクスを摂るのかといったら、良質の生菌をドンっとお腹に投入してあげることで、「善玉組」を増やして大多数の日和見菌の働きを良い方向に促したり、餌となってもともとある善玉菌を増やしたりします。もともとある善玉菌の応援団を投入するわけです。

ここのポイントは「もともとある善玉菌」。この「もともとの割合」や「もともとの種類」、いわゆる「あなたが持つ本来の腸内細菌叢のバランス」を決めるのは何か?

この「もともと」のバランスが悪かったら、簡単に腸内細菌叢のバランスを崩しやすくなり、色々な病気を引き起こしやすいリスクを持っているということになります。

これは生まれてから約2年ぐらいで固定されます。この時点で将来にかかる病や肥満のリスクも確定してしまいます。

赤ちゃんはお母さんのお腹の中では無菌状態です。普通分娩でお母さんの膣を通ってそこにある菌を受け、また、善玉細菌がたっぷり含まれている母乳をとることで、赤ちゃん特有の腸内細菌叢のバランスを構成していきます。そしてヘルシーな離乳食を食べていくことで、徐々に細菌の種類を増やしていき、大人の腸内細菌叢の構成に変わっていきます。

経膣分娩・母乳・ヘルシーな離乳食が、健やかな腸内細菌叢の構成に必要で、逆に帝王切開・人工ミルク・ヘルシーではない離乳食が腸内細菌叢のバランスを崩すことが研究ですでにわかっています。

(蛇足ですが、先日ドラッグストアでレジ待ちしている時に目の前の離乳食の成分をひっくり返して見まくったら、おかゆ系以外ほぼ皆砂糖入ってましたよ。なにあれ?ストウブがあったら、添加物なしで甘く美味しく作れるよ!)

たとえ、経膣分娩・母乳・ヘルシーな離乳食を摂っていても、抗生剤をとると一気にバランスを崩します。乳児・幼児期の抗生剤の摂取はインパクトがとても大きいです。大人になっても、抗生剤を1回(1週間)でも飲むと元の状態には二度と戻りはしません。なので、不必要な抗生剤の摂取はやめましょう。

でね、海外では、意識の高い人たちの間ではこれらの情報が一般的に知られているので、帝王切開の時に医師に膣の分泌液などを赤ちゃんに敢えて触れさせる「Vaginal seeding」をリクエストするとやってくれるところもあるのです。

ところが今回発表された研究では、「どうやらお母さんから赤ちゃんへ細菌が伝わる経路は膣じゃなかったみたいだよ、なんと、分娩中の母親の便との接触だった・・・」という話。

わかってから考えると、「だからみんな近い場所にあるのか〜、それでいいのだ」と改めて人体の構造に納得。そして、むしろ、だからこそお母さんの腸内細菌叢のバランスもとっても大事だということが間接的に証明されたようなもの。

ナチュロパシーで妊娠期のサポートをするとき、プロバイオティクスも中期以降は加えていきます。これは赤ちゃんのアレルギーのリスクを少なくするためなのですが、やっぱり色々な点で良かったのね。

さすがに便を赤ちゃんに擦り付けることはできないので、今後研究が続き、帝王切開用細菌カクテルができると思いますが。

不必要な帝王切開や抗生剤の使用は避けたほうが良いですが、帝王切開でしか救えない命もあります。抗生剤も場合によったら、命を助けるのに優先順位が上がることも多いです。

そういうときのために生菌の赤ちゃん用のプロバイオティクスなどもあります(日本にはないのではないかと思いますが)。大人で仕方なく使用した後も、生菌のプロバイオティクスで調整してできる限りベストに整えることが可能です。

コンサルが必要ですが、必要な場合はご相談くださいませ。

<参考文献>

Shao. Y., et al. (2019) Stunted microbiota and opportunistic pathogen colonization in caesarean-section birth. Nature. https://www.nature.com/articles/s41586-019-1560-1.pdf