不妊治療中の人、また、不妊治療を卒業した人へ その2 <長い不妊治療の末、ご懐妊されたクライアント様のお便り>

前回ご紹介したクライアントさん、仮にお名前をAさんとさせていただきます。Aさんは2年前にご連絡をくださり、そこから2年後赤ちゃんを授かるまで、ずっとコンサルテーションを受けてくださいました。

まずはAさんの体験とメッセージを含んだお便りをご紹介させていただきます。


かなえさんのコンサルを受け始めてから約2年、不妊治療とアレルギー改善を中心に、食事、生活習慣、サプリメントの面から的確なアドバイスを頂いてきました。

そして不妊治療を始めてからも約2年。

奇跡的にも命を授かることができ、もうすぐ妊娠6ヶ月目に入ります。

今日に至るまでの道のりはとてもとても辛いものでしたが、自分自身を見つめ、気持ちをリセットする期間でもありました。

家族が欲しいと強く思い始めて約10年。

主人に出会ってその思いが更に強くなり、42歳の主人と40歳の私は子どもが授かれると信じて病院に行きました。

特に問題はないとは思うけれども、二人とも子どもを初めて授かるにしては若くない年齢ということもあり、軽い気持ちで、私はおそらく「大丈夫、問題なし」と太鼓判を押して欲しくて主人を誘って病院に行きました。

ところが、検査結果は全く楽観的なものではありませんでした。

主人が無精子症であるという現実を突きつけられることになったのです。

衝撃が大き過ぎて、どん底に突き落とされ、一瞬何がなんだかよくわからなくなりました。

駐車場に戻って車の中で二人で泣いたことを今でもはっきりと覚えています。

軽い気持ちで主人を病院に連れて行った結果、主人を深く傷つけてしまった自分自身を責めました。

その後専門医へ。医者からは3つの選択肢を提示されました。

一つ目は精子回収術と言われる手術を受ける、二つ目は精子ドナー、三つ目は子どもを持たずに夫婦二人で生きる。

現実から目を背けたい日々が続いていましたが、話し合った結果、主人は一つ目の選択肢、手術を受けることを決断してくれました。

成功する確率はとても低く、又後遺症が残る可能性があると説明を受けましたが、子どもが授かれる可能性がゼロでない限り絶対諦めない強い気持ちを持って二人で頑張ることを決めました。

そして手術の日。主人から一つでも精子が取れることを想定し、私もホルモン剤の注射を打って臨みました。

精子は一つもありませんでした。

私は涙が止められず主人が処置室に運ばれてくるまで延々と泣きました。

一度麻酔から目が覚めた主人も医者からの報告に涙を流していましたが、そのことは全く記憶にないそうです。

私達二人の子どもを授かる可能性はゼロになってしまいました。

望みは全くない状況だったのですが、この時「必ず主人を父親にしたい」と心から思いました。

主人の勇気と優しさと強さを無駄にしたくなかったのです。

主人の回復を待ち二人で話し合いました。二つ目の選択肢、精子ドナーか。三つ目の選択肢、夫婦二人で生きるか。

私達は精子ドナーを選びました。

一筋縄には進まず、ここでも又心が折れそうになりましたが、数回のカウンセリングの後、自分達に合ったドナーに出会うことができました。

世の中には、特に日本には精子・卵子ドナーに対する偏見があるように思いますが、色んな家族の形があることに対して偏見のない私達は体裁なんて気にせずドナーを利用することにしました。

ドナーが見つかり、さあ次は私が頑張る番!と再度気持ちを切り替え前向きにスタートしました。

ところが現実はそう甘くはなく、なかなか妊娠に至らず、妊娠かもしれないと思ったら異所性妊娠(子宮外妊娠)で悲しいことに妊娠を終わらせる結果となりました。

うまくいかなかった時、ネガティブな感情ばかりが湧き起こりました。

不妊治療は努力をしたところで報われるものではなく、経済面、精神面、肉体面において辛いことしかありませんでした。

妊娠できない自分の身体を責め、SNS等での周りの妊娠報告を素直に喜べない自分、そして主人に怒りをぶつける自分を責めました。

そして周りからの心無い言葉を思い出しては涙しました。

そんな時、私を助けてくれる本を友人が薦めてくれました。

「ごめんね、ありがとう」という本で、その友人も流産を経験した時に読んだそうです。

本の表紙を見ただけで涙があふれました。

「幸いにしてお子様に恵まれたご両親のすぐとなりに、多くの悲しくて避けられない流産や死産があります。」

この本と、偶然にも出会ったヨガ哲学、そして主人の優しさに随分と救われました。

自分の信じるものだけを取り入れ、余計な雑音は捨て去るようになりました。

自分を責めることをやめ、自分をケアしてあげる気持ちがうまれました。

この後の私はとても穏やかになりました。

そして、私が頑張る番、と張り切ってから異所性妊娠までの期間、何としても妊娠したい、周りにはたくさん妊娠・出産している人がいるのに私だけなぜ、という気持ちばかりが優先していたことに気付きました。

主人を父親にしたいという気持ちがどこかに置き去りにされていたのです。

体も心もリセットされた時でした。

異所性妊娠から3ヶ月間お休みした後の体外受精のサイクルで奇跡的にも有難くも妊娠することができたのです。

インターネットから得る莫大な量の情報に振り回されず、かなえさんから頂いた処方箋をバイブルとしてかなえさんのアドバイスだけに目を向けてきた結果、身体をとても良い状態に保てていたこと、自分に優しくなれたこと、周囲からの余計な雑音を気にしなくなったこと、そして主人を父親にする気持ちが優先されたこと、が願った結果に繋がったのかなと感じます。

どんな結果となり、どの選択肢を選ぼうとも、ご自身と大切なパートナーを愛する気持ちは忘れないでください。

日本でも収入等による条件無しに政府からのサポートが得られるように、そして、不妊治療や精子・卵子ドナーを優しく見守ってくれる社会になるように、そして今不妊治療に取り組んでいる方々に幸せな結果が訪れるように、と願っています。


手術に挑んでくださった旦那様、その後彼のためにもと精子提供でIVFを受け続けられた奥様。お二人の真摯な姿に何度も心打たれました。このお便りも読むたびに涙が出てきます。

Aさんはこの2年の間、合計7回コンサルを受けてくださいました。3ヶ月半に一回のペースです。

なかなか結果が伴わなかった時期、Aさんがご自分を責めているのは感じていました。だからこそ、お伝えし続けたかったことは、毎回のコンサルで私の目からは小さい進歩・変化が体の症状で確認できていたことです。IVFの道のりもそうでした。本当に少しずつゆっくり結果がついてきた感じです。

体が整うのにも、ホルモン剤に体が慣れるのにも、どれも個人差はありますが時間が少しかかるように思います。

その過程で子宮外妊娠という辛い経験もされることにはなってしまいましたが、その時点でも、それまでの経過からその先に光を感じていました。頑張ってやられてきていることで無駄になっていることは何一つありません。小さな小さな積み重ねは、自分では気づかないかもしれませんが、それが妊娠という形に実るかどうかは別としても必ず前に進む一歩にはなっています。

とはいえ、渦中のAさんは真っ暗闇の中にいたと思います。その後、前回ご紹介した本に出会われて気持ちが変わったと伺い、本当に本当にホッとしました。

夫婦やカップルの形、それぞれの不妊治療、いろいろなケースがあると思います。

Aさんの体験が誰かの救いとなりますよう願いを込めて。

次は50歳で卵子提供で子供を生んだ友人の紹介です。その3でどうぞ。

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