全身・関節・頭の痛みや強張り、慢性疲労や倦怠感、慢性副鼻腔炎、喘息、記憶力の低下、頭のもやもや感、体重の増加など。色々やっているのに良くならない不調。梅雨の時期に特に悪くなるような感じがする場合、もしかしたらカビが原因かもしれません。
カビアレルギー(即時性IgEアレルギー)がなくてもカビが原因で不調をきたす慢性炎症反応症候群(CIRS)。
カビに晒されることで、全身性の炎症が起こり、免疫にダメージを与えます。特に人口の約24~28%に見られる特定の遺伝子を持つ人は少量のカビおよびマイコトキシン(カビがつくる有毒物質)に晒されると免疫が反応しさまざまな症状を起こしやすくなります。
マイコトキシンなどのバイオトキシン(生物毒素)は、微生物、ダニ、クモ、カビなどから放出される物質で、一度晒されると何年もの間細胞や血液中を循環する可能性があります。普通であれば、免疫が正しく働きバイオトキシンを中和する抗体を産生し解毒の機能を通して体外に排泄されますが、特定の遺伝子(HLA DR/DQ遺伝子)に変異があると生物毒素に対する抗体を産生することができず、免疫系が炎症性物質を生成し続け、全身性の炎症を引き起こします。
症状は様々な形で現れますが特に代表的なのは慢性疲労を伴う以下の症状;
- 倦怠感、脱力感
- 異常な関節の痛み、頭痛
- 頭のもやもや感、めまい、物忘れ、認知障害、アルツハイマー病
- 視覚障害(視覚がぼやける)、光過敏
- 不安、うつ病、不眠症
- 皮膚や四肢の疼き、しびれ、温度調節不全、寝汗
- 風邪、インフルエンザ、鼻づまり、慢性副鼻腔炎、喘息アレルギー、呼吸困難
- 化学物質過敏症、全身性の炎症の悪化
また、慢性疲労症候群、線維筋痛症、ライム病の炎症はCIRSが併発していることが多く、CIRSを持つ人はリーキーガットがある人が多いです。
リスクが高いのは、カビの多い建物に居住している場合、マダニに刺される環境に身を置く人(ハイカー、マダニ発生地での屋外作業者)、漁師や庭師/造園家など生物毒素に触れる可能性のある職業につく人など。
また、冒頭にカビアレルギーがなくても起こりうると書きましたが、カビアレルギーがあってそれによりアトピーなどの症状が出ている場合、もちろん症状を悪化させる要因にもなり得ます。トリガーとしてのカビと、悪化要因としてのカビのダブルの要因です。
日本国内ではCIRS用のHLA遺伝子の検査はありませんが、以下の方法でCIRSがあるかどうか簡易に確認することができます。
1:CIRS/バイオトキシン質問表
質問表を以下からダウンロードしていただき、該当症状にチェックを入れスコアを確認します。クラスタースコアが大人の場合8以上(11歳以下は6以上)、または症状スコアが13以上ありかつ以下VCS検査が陽性の場合、CIRSの可能性が高まります。
2:VCS検査(視覚コントラスト感度検査)
こちらのサイトから検査を行います。脳に慢性炎症反応が存在する場合、一定の色と形状のコントラストの視覚認識の低下が生じます。これらの原因となる要因には、栄養不足、アルコールの摂取、薬物の使用、神経毒やバイオトキシン(有毒藻類など含む)、動物や虫の刺し傷による毒(マダニ媒介によるライム病含む)、特定のカビとマイコトキシン、バクテリア、重金属などがあります。このVCS検査は診断用の検査ではありませんが、視覚のコントラスト感度に異常があるかどうか簡易に測ることが可能です。
このVCS検査は陽性か陰性かの結果を見るまでは無料ですが、詳細な検査結果を見る場合やPDFで結果を受ける場合は有料になります。有料の場合、トリートメント後の再検査もセットで金額設定がされています。
全て英語になりますが、簡単に日本語で検査のやり方を説明していますのでこちらを参考にしてください。
1と2の両方で陽性と判定された場合、CIRSが統計的に95%発生する可能性があります。
もし、CIRSかマイコトキシン中毒が懸念される場合、カビの毒素を体から取り除き、カビへの環境曝露を制限し、全身の炎症を軽減し、免疫機能を正常に働かせる必要があります。
「もしかしたらCIRSかマイコトキシン中毒かも?」と思われる場合は、コンサルテーションでご相談ください。
本州はこれから本格的に梅雨に突入。見えないカビもきれいにしましょう!
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