クライアントさんの表情が変わる時

以前もよくありましたが、特に今年に入ったぐらいから良く感じるようになったことが、幼少時代や大人になってからの心の傷、トラウマ、の身体への影響。それが、10年、20年、30年と身体に残り、今の自分に影響することがあります。

30代にもなって社会生活も10年以上経つと、生活も子供の頃からとは大きく変わり、仕事や人間関係から新しいストレスが生まれ、それによって少しずつ体調が崩れていくことが多いです。

私のコンサルテーションでは、クライアントさんから身体のお悩みを伺って、もし複数あれば良くしたい優先順位をつけてもらいます。そして、時系列で年表を作るように各症状に関して詳しく聞いていきます。いつから始まったのか、程度の変化はあるのか、発症直前は何をしていたのか、しつこいぐらいに細かく聞いていきます。

そうするとたいてい大元のトリガーが見えてくるので、その改善に働きかけるのが通常の方法です。

ただ、それだけではわからないことももちろん多く、特にいろいろな病院をたらいまわしにされ、西洋医学で原因が見つからず来られる方も多いので、そうすると簡単には原因に行きつきません。ただ、1時間半、いろいろな質問をします。大きな問題のある症状から、あまり影響のない些細な症状まで。

健康な状態では、便秘も下痢も、頭痛も体の痛みも、ひどい生理痛も性交痛も、めまいも耳鳴りも、しびれも痒みも、落ち込みも何もありません。頭痛がある人が多いですが、ほんとうは頭痛なんてものもないはずなのです。

「頭痛、偏頭痛はありますか?」「そんなに多くないけどあります」「頻度はどれくらいですか?月に何回?」「週に2回ぐらいです」「痛みはどれくらいですか?痛み止めを飲みますか?」「はい、2回に1回は痛み止めを飲みます。薬を飲むと大丈夫です。」

これって十分多くて酷く、本来あるべきでない種類の頭痛です(笑 

たくさんたくさん質問を重ねるうちに、クライアントさんもあまりに長くある症状なので当たり前だと思っていたものが、実は普通ではなかったということに気づいたり、それに気づくとあれもこれもと堰を切るようにたくさんお話してくれることが多いです。

そして、難しいケースであればあるほど、この些細な情報が重要になります。原因がみつからず行き詰まり、とりあえずプランを一緒に考えた後に、最後の最後に「あ、忘れてましたが、足が攣ることがたまにあります」という一言で、こんがらがった紐がすーっとほぐれ、「ああ、そういうことか!」と全容が見えることがあったりします。

普段からそんな感じでコンサルテーションは進むのですが、基本的に主な身体のお悩みは直近数年に起こっていることが多いです。なので、年表も直近数年の流れを集中的に始めは作りますが、ふと直感が働き、その方の人生全体の年表を見ないといけないと感じる時があったり、また、それを全体を見ないと説明がつかないことがあったりします。

そうして、一歩引いてその方の人生全容を見て、更に質問を重ねていった時に、たとえ症状は直近数年に集中していても、お話されていない過去の一点に根底が繋がっていることがよくあるのです。

私は心理カウンセラーではないので、心に影響を与えた過去の出来事の「内容」を詳しく聞くことはしません。あくまで身体の症状にフォーカスしています。ただ、ストレスがかかった時期と程度とその人がストレスによって受けるインパクトを把握する必要があるので、どれだけのストレス度だったかは聞いていきます。それが今感じているストレスと比較してどうなのか、を把握します。

最近は現在のお話を伺っているだけでも、栄養の状態と身体の症状で、若い頃に摂食障害をもたれていたのではないかということは言及されなくてもわかるようになってきました。そうして聞くと一見全くそんなふうに見えない方でも、実際にティーンエイジャーの頃や、子供の頃に摂食障害があることが多く、クライアントさんも質問されてびっくりされることがあります。摂食障害があるということはそこにトラウマも存在します。

または、必ずする質問ではありますが、心の奥深くにあるトラウマにつながりやすい質問は「動悸があることがありますか?」。幼少の頃や若い頃、または人生の一時期にひどいストレスや心の重荷を負った人は、大人になってからも動悸があることがあります。やはり女性で多いです。一般的には動悸は更年期以降の女性に多いと言われますが、年齢に全く関係なく若い人にもあります。病院に行くほどではないとそのままにしていたり、また、検査をしても異常が見つからない場合が多い。そういう方は過去に大きなトラウマ、大切な人を亡くしたグリーフ、悲しみを経験した人が多いです。

そうして、1時間以上身体のさまざまな質問をしていき、年表を作っていき、過去の大きな出来事が起こった時に身体に現れていた症状が、今も同じ状況になった時に起こっていることにご本人が気づいたり、一見症状が異なるので気づかないけれども今のお悩みが出始めた時期からその時と同じ心理状態や感情になっていることに気づいたり、私に話しながら心と身体のつながりに気づいていく時に表情が変わっていきます。一瞬、線がはっきりして、目の奥で霧が晴れて。

先日印象的だったのは、コンサルで2時間経った後にした「動悸」の質問から、「あります。夜寝る時に呼吸の仕方を忘れることがあって、しばらく呼吸ができないときに動悸がします」と。そこから、過去のトラウマの存在が浮き上がり、一見全くストレスのない今の生活から説明できなかった身体の症状のトリガーがわかりました。その後、クライアントさんの表情がとても変わりました。

呼吸にしろ、動悸にしろ、自律神経に明確に影響するほどの心の重荷は、メンタルの症状で現れなくても、免疫系やホルモンの変調で現れることも往々にしてあります。ウィルスやバクテリアの働きにも影響し、女性ホルモンやそのほかのホルモンの働きにも影響します。

クライアントの表情が変わる時、それはたぶんあるがままの自分を受け入れる受容の一歩なのかもしれません。自分自身の奥深くに初めて目を向けた時。

あと、あたらめて感じるのが、西洋医学だとシステム別で専門が分かれていて、症状が多数あるときに全体を把握するのが難しいですが、ナチュロパシーだと各システムの症状に横串を通せるので、全てのつながりを確認できること。

身体で起こっていることは往々にして全て単独で起こっているのではなく全てが繋がっています。そしてもちろん身体は心とつながっています。

自己治癒力というのは「受容」がないと機能しません。まず、身体と心のつながりを認識して、あるがままの自分自身を受け入れるところから始まります。

私はただひたすら根本原因を探るための質問を重ねるだけなのですが、結果としてこうしてみなさんの人生のレイヤーと、心と身体のつながり、そこに重なるスピリチュアリティの美を見せていただけることにとてもとても感動していて、ここ数日も涙、涙のコンサルテーションが続いています。

この仕事ができてほんとうに幸せです。

みなさま、いつもありがとうございます!これからも精進してまいります。