これから大人になる若い女性たちへ

これまでのクリニックや店頭での経験で、短期間ながら相当数の人を診てきました。

ナチュロパスとしてたくさんの人に会っていると、大人になると当たり前になることを、知らずに苦しんでいる20代の若い女性が多くいることに気づきます。情報化社会だから今の若い人たちは私たちが若かった頃の数十倍、数百倍の情報に触れているんだろうと思っていると、意外と基本的なことは知らないまま。私たちが若かった頃とあまり変わりがないことに気づきます。

本当は母から娘へ伝えていくべき話の部分もあったり。私も20代の娘がいてもおかしくない年。ナチュロパスとして、デリケートゾーンの衛生について若い女性たちに向けてこれだけは伝えなくてはいけないと思うことを書きます。

  1. 性交渉の後は、簡単でいいのでデリケートゾーンを洗うこと。膀胱炎のリスクを大幅に下げられます。通常は、性交後に排尿をしたり、簡単に洗うだけでも大丈夫です。ヘビーな性交渉をした場合は石鹸で洗いましょう。頻繁に膀胱炎を繰り返していると、そのうち菌が常在し慢性化したり、また、菌が腎臓に上がっていき重症化するケースもあります。繰り返し起こる膀胱炎にはビタミンCと亜鉛を。炎症が起こったらクランベリージュースも追加して飲んでください。(それでも治らない場合は相談してください)
  2. 膣洗浄用の使い捨てのビデを使わないこと。膣内は腸内と同様に様々な菌が存在して健康なバランスを保っています。過剰な洗浄は膣内の常在菌のバランスを崩し、感染や別の病気になりやすくします。洗浄をしないと気になる症状がある場合(おりものの異常やカンジダなど)は、洗い流すのではなく、食事、栄養、腸のプロバイオティクスや膣用のプロバイオティクスなどで細菌のバランスを整えることで改善できます。
  3. 排便後、トイレットペーパーで拭くときは、必ず前部から後部に向かって拭きましょう。逆向きに後部から前部に向かって拭くと、大腸菌が前部(尿道や膣)に移動してしまい感染症にかかりやすくなります。
  4. 生理中は性交渉はやめましょう。少なくとも赤い血液の出血が終わるまでは必ず控えてください。血液が逆流して子宮内膜症になる可能性があります(ちなみに誤解のないよう書きますが、生理中の性交渉だけが子宮内膜症の原因ではありません。生理中の性交渉をしなくても子宮内膜症になることはあります)。また、出血中は膣分泌液が出ないので、膣内が傷つきやすくなり感染しやすくなります。聞き入れてくれない男性とは今のうちに別れましょう。妊娠・出産・子育てでは、4、5日の性欲の我慢どころの話ではないチャレンジが待っています。
  5. 潤滑ゼリーは使うのならば、オーガニックの物を。顔の経皮吸収率は体の他の部位と比べて13倍程度と高いですが、膣の経皮吸収率はそれより更に高く40倍以上と言われています。市販の潤滑ゼリーは原材料に何が入っているか明記されていないことが多いです。環境ホルモンのパラペンなどが入っていない国内か海外のオーガニックのもの(organic (personal) lubricantと呼びます。シドニーはaboutlifeで売っています)を探してみましょう。潤滑ゼリーだけでなく、市販やステロイドを含む処方の塗り薬もデリケートゾーン用でないものは、お医者様への確認なしには塗らないでください。
  6. タンポンもオーガニックコットンのものを使うか、または、月経カップ(Moon cupというシリコン製のカップ)を使いましょう。タンポンは漂白の際に環境ホルモンのダイオキシンが使われます。特に婦人科系の問題(PMS、重い生理痛、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫など)を持っている、または婦人科系疾患の多い家系の人は、膣内に入れる物の品質に日頃から注意してください。
  7. 生理が重い人やアトピーの人はオーガニックコットンの布ナプキンを使いましょう。生理の重い人は出来る限り外から摂取する環境ホルモンを避けたほうが良いですが、タンポンだけでなく紙ナプキンでも環境ホルモンを摂取するリスクがあります。また、アトピーの人は炎症が進むと化学物質で皮膚のかぶれを起こすこともあります。炎症があると経皮吸収率は更に上がります。布ナプキンとその洗い方(セスキ炭酸ソーダ)はインターネットに情報がたくさんあるので調べてください。
  8. 生理が定期的に来ている人も来てない人も一度は基礎体温を測りましょう。基礎体温は避妊や妊娠のためだけのツールだと思っている人は多いと思います。実際に避妊や妊娠のためには有用なものですが、それ以上に一番重要なのは排卵があるかどうかを確認することができること。自分が排卵をしているかどうか正しく把握している人は意外と少ないです。生理が順調に来ていても、実は排卵がきちんと起こっているとは限りません。特に生理が不順な人は必ず確認をしてみましょう。両側の卵巣が正しく毎月交互に排卵しているかどうかを調べるためにも4ヶ月から6ヶ月は調べてみる必要があります。今は毎朝同じ時間に体温を測るだけでパソコンにデータを飛ばしてくれてチャートまで作成してくれる楽チンサービスもあります。基礎体温をつけていると排卵の時期がだんだんわかってくるので、排卵痛も意識すれば感じられるようになります。基礎体温のことを学んで自分の体のことを知りましょう。自分の体を知ることで自分の体の扱い方や扱う気持ちが変わります。参考サイト:基礎体温を測ろう
  9. あまりに重い生理や重いPMSがある人は「そういう体質なんだ」とそのまま放置せず、基礎体温を測り、一度病院で検査を受けましょう。子宮内膜症が隠れていたり、鉄の欠乏症で二次的な症状につながることもあります。特に大きな問題がなかったとしても、生活・食事に気をつけないといつか病気を引き起こすリスクが高まるので注意してくださいね。

とりあえずは以上かな。

自分と相手のことだけを考えて恋愛に没頭できる時期は人生でも20代が最後かと思います。楽しい20代を全力で満喫できるよう、自分の体は大切にしましょうね。