ちょっと前に読んだがんに関する本を再度読んでいます。
紹介してもらった本でアマゾンにもレビューはないのですが、がんや細胞、がんの歴史、発生メカニズム、癌遺伝子に関して包括的でわかり易く書かれている良書です。
「がんはなぜ問題視されるのか」谷田憲俊著
一般の人にはちょっと難しいかもしれません。恐らく、製薬会社、機能性医療ビジネスに関わる方向けなのかしら?論文ほどは難しくはなく、でも全く基礎がないと読むのが難しいかも?漢字に拒絶反応を示さず、冷静に読めれば、基礎がなくても理解できるようにわかり易く書かれていると思います。
ご家族にがんの方がいる人はご存知かもしれませんが、今はがんの治療において、一部保険対応で、幅広く調べたい時は自由診療で、遺伝子検査が使用されています。遺伝子検査でその人のがんの特性を調べ、その特定のがん細胞に、抗ガン剤、温熱治療、分子標的剤、ひいてはサプリメントが効くかどうか調べることができます。
がん遺伝子検査に特化した内容を知りたければ、もっとわかりやすい本がきっとたくさんあるので調べてみてください。
この本は癌遺伝子の詳細に加え、ガン細胞というものがそもそも何なのか、発癌物質や発癌促進させるもの、抑制させるものは何か、と、事実が淡々と教科書的に平たく書かれています。私はナチュロパスなのでもちろん癌に働きかけるハーブの薬効や、前職でまさに癌遺伝子検査を取り扱うお仕事をしてたので知識はあったものの、系統だって学んだことがなかったので勉強になりました。
で、今回紹介したいのはこの本で話されている発癌物質と発癌促進因子と発癌抑制因子。この関係性が綺麗に整理されるのでご紹介。
がんに関しては遺伝要因は約2割と言われていて、8割はその人の生活環境・生活習慣が大きな要因となっています。要するにこれら発癌物質と発癌促進因子が関わっています。
発癌物質とは、ご存知の通りがんを誘発する物質ですが、これらのすべてが、例えば皮膚に接触したらその部分ががんになるわけではなく、体内で代謝されていることで発癌物質に変わります。また、単にこの発癌物質だけががんを引き起こす要因なわけではなく、そこに発癌促進因子が加わることによって、がんを作りやすくします。
ちなみに現在国際がん研究機関(IARC)が規定している発癌物質は以下の通り。
グループ1発がん性があることが確認されている120種類の物質
アスベスト、ダイオキシン、ベンゼン、シリカ、カドミウム、ヒ素、ホルムアルデヒド、塩化ビニル
アルコール、ハム・ベーコンなどの加工肉、塩漬けの魚、たばこ、日焼けマシン
肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ピロリ菌などの感染症、放射線、紫外線
ゴム工業、塗装業、家具製造
抗がん剤や薬:シスプラチン、セムスチン、シクロスポリン、シクロホスファミド、タモキシフェン、抱合エストロゲン、経口避妊薬など
グループ2A 恐らく発がん性がある81種類の物質
アクリルアミド、クロロトルエンなどの化学物質、紫外線、赤肉(牛、豚、羊、馬、山羊など)、非常に熱い飲み物、亜硝酸塩、非ヒ素系殺虫剤、理髪業など
グループ2B 発がん性のある可能性がある299種類の物質
アセトアルデヒド、鉛、アクリルニトリル、クロロホルム、DDT、ニッケル、コバルト
ガソリン、排ガス、重油などの混合物
漬物、プロゲステロン単剤経口避妊薬、ジゴキシン、わらび、低周波地場、大工、ドライクリーニング業者などの職業など
長くなるので書きませんが、どのグループにも抗がん剤や薬がたくさん入っています。
臓器別発癌促進因子は:
口腔 | アルコール、熱い物、喫煙 |
肺 | アルコール、脂肪、喫煙、コレステロール |
食道 | アルコール、熱い物、喫煙、食物繊維 |
胃 | 塩分、焦げ、糊 |
大腸 | アルコール、脂肪、卵、砂糖、肥満、喫煙 |
肝臓 | アルコール、添加物 |
胆嚢 | 肥満、胆石 |
膵臓 | 肉、コレステロール、喫煙、コーヒー |
乳房 | アルコール、肉、脂肪、肥満 |
子宮頸部 | 喫煙 |
子宮体部 | 脂肪、肥満 |
腎臓 | 肉、乳製品、肥満、喫煙 |
膀胱 | コーヒー、喫煙 |
前立腺 | 肉、脂肪、乳製品 |
発癌抑制因子も本には臓器別に記載がありますが、ほぼすべての臓器で当てはまるのは、野菜、果物、ビタミンC、カロテン、運動、食物繊維(膵臓、乳房、大腸)、穀類繊維(胃)。
また、特に有効な発癌抑制有効成分であるビタミン類・ポリフェノール・フラボノイドを含む野菜や果物、含硫化合物を含むネギ科とアブラナ科、それから、食物繊維、トマト、ぶどう、ナッツ、オリーブオイル、ぶどう、ベリー類などがオススメ。
これら抗酸化食材は、ネギ科とアブラナ科を意識して加えた上で、お食事の色合いを5〜7色にしようとすると必然的にカバーされてきます。レインボーカラー♪
要するに、「発癌物質」+「発癌促進因子」=「がんの発生」。「発癌促進因子」の代わりに「発癌抑制因子」を増やせば「がんのリスクの軽減」というわけです。
「発癌物質」+「発癌促進因子」+「発癌抑制因子」では、多分有害な物を無害にするには追いつかないので、「発癌物質」や「発癌促進因子」はできるだけ避けることが重要ですね。
この本には書いていませんが、強力な発癌促進因子の1つはストレス。とてもとてもパワフルな要因です。これも要注意です。
今、2人に1人ががんにかかると言われています。2人に1人、そして8割が生活環境と生活習慣が要因となる、ということは、ある時点からはもうかかると思って生活を一度見直した方が良いかと思います。
特にがんに関しては、他の病気と違って、顕著な症状もないまま或る日突然告知されることがあります。その日から突然生活が変わってしまいます。また、現在のメインストリームの医療での治療法はその後のQOLに大きく影響することが多いです。
確実に治せる治療法が存在しない今、どのような選択肢があるのか、なぜその治療が必要なのか、それをしたらどうなるのか、医師のアドバイスを参考にしながら治療法を自分で選ぶことが、自分の生き方を自分で決めることにつながります。
今回はこの部分のお話はしませんが、機会があったら、一度自分ががんになった時にどのように治療の選択をするか、を考える機会を持ってもらうと良いな、と思います。
以前ご紹介したこちらの本(「がんが自然に治る生き方」ケリー・ターナー著)は普通に読めるのでこちらオススメです。メインストリームの医療以外で何ができるか、のお話なので、ちょっと毛色が違いますが。私のブログを読まれている方にはオススメかと思います。
参考資料:
World Health Organization. Agents Classified by the IARC Monographs, Volumes 1–125. https://monographs.iarc.fr/agents-classified-by-the-iarc/
谷田憲俊 (2002) がんはなぜ問題視されるのか。プリメド社