心のトリートメント方法 その3 キネシオロジー

キネシオロジーってご存知ですか?

キネシオロジーを知らなくてもオーリング(Oリング)テストを知っている人は多いかもしれません。「OK」の形のように親指と人差し指で輪っかを作ります。指先にグッと力を入れて指が外れないようにします。空いているもう一方の手に何か対象物を持ったり、対象物のことを考えたりしながら、誰かに指の輪っかを外してもらいます。その対象物があなたに合わないものならば、輪っかは開いてしまいますし、合うものであれば、輪っかはしっかり閉じて開きません。合うものであれば力は入るし、合わないものであれば何かが邪魔をして力が入らなくなります。それが無意識の筋肉の反応。

この筋肉反射テストを指だけでなく体全体の反射ポイントに対して行い、筋肉・神経・臓器のつながりの反応だけでなく、物・人・出来事に対する潜在意識の心と体の反応も探り出せるのがキネシオロジー。キネシオロジーは筋肉反射テストのチェックだけでなく、治療をしたり、その対象物に対する心と体の調整も行います。

キネシオロジーとは広義では人の運動力学的なものを指しますが、医療の技術としては、カイロプラクティックから派生してできた「アプライド・キネシオロジー」があります。カイロプラクティックの治療のテクニックの一環で使用されていて、生体力学や神経科学にフォーカスしている学問です。医療従事者しか取り扱えなかった「アプライド・キネシオロジー」を、家庭用に、且つ、もう少し心の動きにフォーカスして改良されたのがタッチフォーヘルス(TFH)。ストレス・悩み・心の問題、または痛みなどのフィジカルな問題にも利用できます。

オーリングテストを使って薬を選ぶ医療従事者の人も多かったりするので、キネシオロジーのテクニックは、医療・ヘルスケア業界の中でもキネシオロジストに限らず幅広い分野の人々に使われています。

私は、縁あって、シドニー留学当時にキネシオロジーを学んでいた友人のステラから、無料モニターとしてキネシオロジーのセッションを9回受けました。1回のセッションが二時間。3回のセッションで1クールなので、合計3クール。3回、別々のお題目に対して行いました。

私は、最近でこそ恥ずかしがるふりをし始めましたが(実際恥ずかしいと思うようにもなったけど)、もともと人に対して自分の気持ちやあるがままの自分のことを『話す』ことにあまり抵抗はありません(書いてて気付きましたが、『見せる』のは上手にできないけれども『話す』のは割と躊躇なくできます)。しかも、普段引っ込めている触覚を出せば、エネルギーも比較的敏感に感じる方です。様々なエネルギーワークにも慣れているので、すぐに深く入れます。

要するに、人に感情を話すことには慣れているし、心・体に関わらず突かれたらいろいろな反応が素直に出る方で、しかもいろいろなものをキャッチして言葉にするので、心や体のワークをされるセラピストさんたちにはとてもいい練習台。

一番最初の回からフォローアップの第9回目のセッションまで、あれやこれや出てくる出てくる。シドニーにいた頃は心の問題はほぼ全て対処済みで、それを乗り越えて好きなことをやり始めていたし、勉強は死ぬほど大変だったけど、「物理的ストレス以外は何も問題はない!」と思っていたのに...。

初めは「私、何の問題もないけどいいのかなぁ?」と言っていたくらいで、日々のちょっとモヤっとした感情が実はその裏の裏にはあることが心の負担になっているのが判明したり。Aの件が気になっていたけれども、それは実は全く関係ないBの出来事が原因していた、とか、意外と無視できない意味のあることばかり。「全く問題ない」と思っていた日々の中で、自分では全く気づかなかった衝撃的事実を3クールとも発見しました。「え、そこなの?」っていうことばかり。毎回、星新一のお話並みに想定外の展開。

セッションは、その時の悩み事、気になること、改善したいことなどに対して行います。始めのセッションでは何かしらそのお題(問題)の糸口が見つかります。2回目のセッションで、その糸口をたぐる作業をするのですが、大抵当初のお題とはまったく関係のない出来事・感情が湧き上がってきます。ここにきていつも話がとんでもない方向に行くので、ステラも私も「はて?どういうことだろう?」と首をかしげっぱなしでした。全く先が見えないまま3回目のセッションをスタートして、3回目が終わる頃には....。その結果に、いつも二人とも顔を見合わせて、口をあんぐりさせていました。そのうち1クールは、私は涙を流しながらも口をあんぐり。しばらくフラワーエッセンスを飲んでいないと耐えられなかったほどの大きな衝撃。でも、表に出てくると「何で今まで見えなかったんだろう?何で感じなかったんだろう」と思うほど、そこにずっとあった当たり前の感情。本当に、認知していなかっただけ。

キネシオロジーでは筋反射テスト中に言葉をかけていくので、耳から入る言葉の意味に筋肉が反応しているのかもしれないと思い、わからない英語の単語はあえて無視していました。でもちゃんと反応する。Aだと反応するけど、Bだと反応しない。本当に不思議です。

ステラの技術も素晴らしかったのだと思います。とても愛が深く優しい人で(しかも美人)、いろいろな知識も経験もある人なので、探っていく方向がきっと正しい道筋だったのでしょう。

ヒプノはちょっと怖くてできない、でも、自分の悩みを自分の潜在意識に問いてみたい・問題の根源がわからないので探ってみたい、という人には、キネシオロジーはよいかと思います。催眠にかかるわけではなく、意識を保ったままで潜在意識にタッチできます。

本当のストレスは認知していないことが多いので、原因がわからないけれども「何か靄がある」「気持ちが重い」「落ち込みやすい」「何だかわからないもやもや、イライラ」などある時にオススメ。もちろん原因がわかっていて、どう対処したら良いのかを探るのにもよいです。

このポストは「心のトリートメント」なので、心の話に特化していますが、キネシオロジーは物理的な筋肉・神経の働きを扱うテクニックなので上記に少し書いた通りトリートメント・効果の範囲は心理のトリートメントだけに留まりません。

ステラは今シドニーのNeutral BayのRavel Therapiesというサロンでキネシオロジストとして活躍しています。本当に素晴らしい人なので、興味のある方は是非。

日本では個人的には良いキネシオロジストさんは知らないのですが、日本タッチフォーヘルス・キネシオロジー協会にインストラクターさん紹介があるので、ピンとくる方を選んでみてもいいかもしれません。